jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

侵略地の奪還は不適切な作戦--長期化するウクライナ侵攻で極寒にさらされる国民

ロシアのプーチン集団によるウクライナ侵攻が始まって9ヶ月。極寒の季節に入り,ロシアがジリジリと撤退しながら発電所などのインフラの破壊をしていると伝えられている。ウクライナ国民を凍死の危機に追い込む卑怯な作戦だとして,ゼレンスキー大統領はロシアを非難している。その気持ちは理解できる。

 しかし,そもそもこれだけ戦争を長引かせている理由の1つが,ゼレンスキー大統領が今回ロシアによって侵略された州や,先にロシアに併合されたクリミア半島も含めて,ウクライナに奪還しようとしていることが挙げられる。ゼレンスキー大統領の戦い方の問題点--住民退去をまず優先すべきだった - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/7/18。

 紛争当初,ロシアが設けた「人道回廊」が無視され,避難しようとするウクライナ国民を砲撃したり,逆にロシア領内に拉致する事件が報じられた。ウクライナ軍が奪還した地域には住民が残り,ある程度の平穏を取り戻したかに見えた。

 しかし,時折ミサイルで攻撃される中で,住民の安全が確保されてはいなかった。そこに,極寒の季節とエネルギーインフラの破壊が行われた。

 この紛争で最も被害を受けているのは,占領地域の住民である。当初の段階で,ザポリージャ製鉄所の地下に避難した住民は,避難したと称して実は人の盾に使われた側面もある。そして今度は,地域に残された住民が凍死の危機に直面しているが,ゼレンスキー大統領はその事実でロシアを非難はするものの,具体的な住民の救出作戦は決行していない。耐えられるだけ耐えろ,と言っているのは,再び住民を盾に使っているのと同じように見える。

 ミサイルや自爆ドローンによる攻撃が主流の現在,エネルギーインフラを仮に再建したとしても,再び破壊されるだけで,住民は救われないのではないだろうか。また懸念としては,ロシア軍が撤退した後に,まだ住民が残った段階で核兵器という最後の手段を使う可能性が否定できないことである。

 住民がいくら残っていても,それは戦力にはならない。ならば早急にエネルギーインフラの確保されている地域に住民を移送救出すべきなのではないか。

 筆者は,ウクライナ東南部の親ロシア派の多い地域をロシアに譲った時点で国境の引き直しという形で停戦すべきだったと考えていた。NATO加盟が決まっても,NATO諸国も政治基盤が変化している。当初のような軍事的な支援が受けられなくなっている。戦争が長引いて疲弊するのは国民である。ましてこの極寒の季節において,ゼレンスキー大統領の政治判断は,意地を張っているようにしか見えない。さすがに意気軒昂だったウクライナ軍もウクライナ国民も,疲弊してきているのではないだろうか。

 第二次世界大戦の後半で,日本は大都市の空襲を受けて完全に劣勢になり,最後に2発の原爆を落とされて敗戦という選択をした。しかし,幸か不幸か日本という国は残され,その後の急速な技術発展によって世界貢献ができた。

 今のままでは,ウクライナは勝利国になろうとして国民を犠牲にしているようにしか見えなくなってきている。当初はプーチン大統領も軽く猫パンチをお見舞いすればウクライナが従うと思っていたものが,完全に逆襲され,タジタジになりながら,引くに引けない状況に陥っている。しかし,本当に被害を受けているのは両国民である。

 これで何らかの形で停戦したとしても,ゼレンスキー大統領は意気軒昂で領土奪還を主張するだろうし,プーチン大統領も侵略失敗を認めないだろうから,しこりが残ったままになり,お互いに次の発展的なステップに進めなくなってしまう。

 NATOの他国も,もはやゼレンスキー大統領の暴走を止められない。一方で中国やインドもプーチン大統領を説得することはない。お互い,ケンカ腰のままで,被害を受け続けるのが国民である。

 国連総会にオンラインで参加・主張するゼレンスキー大統領の姿を,国連各国はすでに見放しているように思える。もう少し思慮深い人物かと思っていたが,単なる悪童として手の出しようがなく傍観しているように思える。

 何度も書いたが,日本が世界の中で今の立場を築けたのは,敗戦を受け入れる冷静な判断と,モノづくりで世界に貢献しようという当時の日本人の生真面目さがあったからである。ウクライナは,おそらく敗戦を受け入れることはなく,最後まで自己主張を続け,ロシアとの間の緊張状態は続き,最後はNATOの東の壁としての立場で軍事大国を目指すしか生き残る道はないのではないか。

 残念ながら岸田首相は,ロシア非難・ウクライナ擁護の立場であり,世界のパワーバランスの変化の中で,アメリカに守ってもらえないことの危機感から防衛力強化をし,さらに軍事力強化へと進もうとしているように見える。それよりも,世界が今注目している水素エネルギーのリーダー国としての立場を明確にし,また世界の食糧危機の切り札としての陸上養殖,植物工場,微細藻類養殖などの技術を世界に広めることを優先すべきではないか。

 そしてもし,平和が世界を豊かにするという信念があるのなら,筆者は天皇陛下プーチン大統領・ゼレンスキー大統領と懇談し,ウクライナ国民の窮状,ロシア国民の不安を伝え,またアフリカの食糧危機を伝え,この侵略の1日でも早く終結させるべきだと考える。ローマ法王ですら,宗教戦争の当事者として動きが取れない状態である。天皇が唯一,政治にも宗教にも関わらない世界平和という立場で貢献できるのではないだろうか。もはや,天皇と言っても政治に与しないと言っている場合ではないのではないだろうか。