jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

原発再考もやむ無しだが、技術者養成が恐らく無理な日本--モノづくり全般に指導力さえなし

ウクライナ紛争によって、SDGsがエネルギー分野で揺れ動いている。天然ガスのロシア、石炭の中国、ウラン鉱石のタジキスタンと、西側にない国がエネルギー資源を牛耳っている。石油産出国も先進国ではない。いずれも、エネルギーを人質に取って世界の覇権を握ろうとしている。

   原発技術も、稼働させている半数以上がロシアと中国らしく、西側諸国は原発離れ、原発拒絶のために、原子核分野の勉強をする学生も恐らくほとんどいなくなった。

   筆者が大学進学したころは、原子核工学といえば花形で、工学部での偏差値も建築、電気、航空、情報の次ぐらいに高かった。福島第一原発爆発事故で、原子力技術者の仕事が原発解体の難仕事だけになったように見えることから、誰もこの道に進まなくなった。筆者の友人も、残念ながらこの事故の後始末に追われている。

   その中で、福井県が新型小型原発の誘致に乗り出した。原発が日本や地球のために必要との判断を自治体として初めて示した。京都大学ベンチャーは、核融合での発電を目指してプラント建設を始める。前向きな取り組みである。

   一方、中国では、水素エネルギーの一貫施設が稼働を始めた。水素を分離し、蓄積し、燃やして発電する。筆者が推進することを言い続けている水素燃焼発電とさらに燃料電池もあるという。また先を越されたように感じる。日本は結局何もしない負け組になるのではないかと思われる。(情報リンクなし)

 原発技術者どころか,モノづくり,特に機械工学系技術者が,もう日本には足りない。まさに「頭でっかち」のコンピュータ系で,しかもゲーム系やマネー系にしか日本の若者は関心がない。熊本県に誘致した台湾TSMCも,日本人雇用は装置稼働の監視だけで,建屋から半導体製造装置,周辺の気体・液体・空調・空気清浄などさまざまな必要な技術が日本で調達することは考えていない。日本政府が建設に当って大幅な援助をすることと,出荷できる2世代ほど前の半導体自動車産業が購入してくれる,というだけの話である。

 電気系技術者も,エネルギー分野を担う重電系・電力系技術者がほとんど成り手がいない。アナログ電気系技術者もいないから家電も作れない。デジタル系・IC/LSI系の設計技術者もいない。LSIに載せるロジック系の設計技術者もいないし,PCからスマホに至るまで,プラットフォームはすべて海外製であり,オリジナルの発想が全くできない状態にある。

 今,日本ではクルマ産業だけが何とか生き残っているが,これがEVに全面的にシフトしたとしたら,どうなるのか考えただけでも恐ろしい。モーターは国産メーカーから調達できるかもしれないが,バッテリーは一部の高級車用を除いてすべて海外からの調達になるだろう。そしてメンテナンスもできないので,ただ古い部品を交換するだけの整備業務が残ることになる。独創的な設計が生まれる余地はほとんどない。

 ウクライナ紛争によって,世界中のサプライチェーンの脆弱さが浮き彫りになり,全地球的なSDGs運動も,絵に描いた餅になりつつある。貧富の格差は拡大し,搾取する者と搾取される者の構造がますます拡大し,人類全体としての向かうべき方向が結局バラバラであることが明らかになった。いや,その前の2020年からまだ続いている新型コロナウイルス禍「COVID-19」という人類存亡の危機に対しても,世界が一致団結していない。

 世界で一番安全と言われた国,日本で前首相が国民の凶弾で死亡するという衝撃的な事件が起きたが,逆に言えばそれだけ日本はぬるま湯に浸かっているゆでガエル状態にあるということでもある。残念ながら筆者も守りに入っている。次の世代への展望が開けていない。何を残していけばいいのか,まったく分からない。正直,真面目でコツコツ積み上げてきた自分の人生が,これ以上崩れないように,という考えしかない。

 一方で,今の体制をぶっ壊すことと,自分のことしか考えない世代が蔓延している。ぶっ壊すのは結構だが,では何か新しいものを作れるのか,といえばそれもなく,現存する他人の資産を盗む(オレオレ詐欺がその典型)か,国のGDPに貢献しない行為にしか関心がない(仮想マネーを含むマネーゲーム,広告収入を稼ぐアフィリエートYouTuberなど)。割引があると言えばそれをだまし取って遊びに行き,現地で殿様気分でやりたい放題で帰ってくるという行為も,信じがたい。明日の日本,明日の世界に対する危機感を覚える。