jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

マイナンバーカードの「キャッシュレス決済サービス」との紐づけって結局何だったのだろうか--高齢者が登録しない最大の理由と分析

マイナンバーカード登録促進の第2弾として,「マイナンバーカードの健康保険証としての利用申込み」と「公金受取口座の登録」が進められている。それぞれ7500円分のマイナポイントが付与される,としている。

 そもそも,マイナンバーカードを登録するときに,ポイントを受け取るための「キャッシュレス決済サービス」との紐づけをしなければならなかった。一方で,今回の「公金受取口座」は,一般的に言えば銀行口座である。「公金」としては,「緊急時の給付金のほか、年金、児童手当、所得税の還付金等、幅広い給付金等の支給事務に利用することができる」としている。

 さて,筆者の場合,年金の受取口座は年金事務所にすでに登録済みである。所得税の還付金の振込口座は税務署に登録済みである。災害時や新型コロナウイルスなどに関する給付金が発生した場合は,追加で申請書を出したりする必要があったのが,今回の登録によって自動的に振り込まれるようである。

 ならば,最初に登録した「キャッシュレス決済サービス」は何だったのだろう,という気がしてくる。

 対象となるキャッシュレス決済サービス検索 | マイナポイント事業 (soumu.go.jp)

 当初は,「○○ペイ」などのキャッシュレス決済サービスの利用拡大を図るためのポイント付与(買い物額の5%とか)のための呼び水であり,別にマイナンバーカードを登録したからといって何のメリットもなかった。実際,筆者のようにマイナンバーカード登録キャンペーン第1弾以前にすでにマイナンバーカードを作成している者にとっては,1円のポイント還元も得られていない。ただ○○ペイで買い物をすれば,○○ペイにポイント還元されるだけで,マイナンバーカードとの紐づけはまったく意味のないものだった。

 そこに「公金受取口座の登録」として銀行口座を紐づけるのなら,最初からポイント還元を銀行口座にしておいてくれた方が古い人間にとっては使い勝手が良かった。マイナンバーカードの登録が進まなかった大きな理由の1つではないかと思う。そもそも,筆者のような年配者が,キャッシュレスサービスを使うために,スマホを買ったり,さまざまな登録をするというハードルは,非常に高かった。

 キャッシュレス決済サービスとして,その時までは○○ペイは次々といろいろなものが登場して,使いたいところで決済ができなかったり,いちいちスマホを取り出してアプリを立ち上げ,バーコードを表示する手間や,チャージしなければいけない手間など,ほとんどメリットが見いだせなかった。

 ならば,これまでも使い慣れているキャッシュレス決済サービスであるクレジットカードで登録しようとしたところ,上記のリンクでもあるように非常に限られている。キャリア系でもd cardとau payカードのみ。地方銀行系のクレジットカードが7個あるだけで,メガバンク系は三井住友とゆうちょのみ。ほかに大手クレジットカードで当初からあったのは,イオンカードだけで,EPOSも当初はなかったし,SASONもRAKUTENもなかった。Orico,JCBもなかったように思う。

 年配者でも比較的よく使う可能性のある交通系カードも,JR系のSUICAICOCAはあるものの,私鉄系メジャーのPASMOがない。銀行系デビットカードも,りそな銀行埼玉りそな銀行三井住友銀行ぐらいしかないし,当初はなかったのではないかという記憶もある。

 現時点のリストを見ても,たとえば還元されたポイントを有効に使えるキャッシュレス決済サービスは,という視点で見ても,あまりパッとしない。○○ペイは,その中での支払い時にしか使えないが,クレジットカードなら引き落とし銀行口座に最終的に戻るので,使いでがある。交通系カードなら使う頻度も高いが,筆者の手持ちのPASMOが使えないのはどうにも腑に落ちない。

 そもそも,当初のキャッシュバックキャンペーンはすべて終了し,○○ペイを積極的に使うメリットはほとんどなくなっている。たとえばコンビニエンスストアでは,以前からの独自のポイントカードもあるため,ポイントカードとデビットカードをさっと取り出して続けさまにタッチすれば済んだが,スマホでポイントアプリとキャッシュレス支払いアプリを順番に見せて処理すると,おそらく3倍以上の時間がかかっているのではないか。レジの前で「あのアプリはどこだっけ」とオタオタしているのは筆者だけではないだろう。結局,何度かの失敗の後,レジに並ぶ前に両方のアプリを起動して順番に見せる,という操作をする準備が必要になる。

 今からでもいいので,マイナンバーカードとキャッシュレス決済サービスの紐づけの義務化をやめてほしい。その代わり,公金受取口座の紐づけを義務化してほしい。公金受取口座をキャッシュレス決済サービスにすれば,ポイントはそのままポイントで還元され,口座なら現金として振り込まれる。それでいいではないか,と思うのである。

 どうしてもキャッシュレス決済サービスを普及させようとするのなら,お金と同様にきちんと管理する組織が運用してほしい。民間企業がいい加減なアプリで運用して個人情報の保証もないような状態での運用をやめさせてほしいし,決済用機器や決済額のキックバックなど,不透明な商売が横行しているのを改善してほしい。そして,どこの店でも負担なく使える真のキャッシュレス決済サービスを提供してほしい。

 スマホでの銀行系,クレジットカード系の決済アプリは,二重認証やワンタイムパスワードなどの仕組みでより堅固に安全が確保されているが,○○ペイはほぼすべてQRコードなどのバーコード情報の読み取りだけで決済が進んでしまう。非常に危険だと思っている。

 そういう意味では,メガバンクの銀行口座を公金受取口座として登録し,それと同時に同じ銀行が提供しているデビットカードをキャッシュレス決済サービスとして登録してはどうだろうか。そうするといつもカードを持ち歩かなければならない,という人には,スマホアプリと連動するデビット機能付きキャッシュカードの取り扱い開始について|株式会社みずほ銀行のプレスリリース (prtimes.jp) 2022/7/7 https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20220707release_jp.pdf なども登場している。しかし,みずほ銀行デビットカードマイナンバーカードのキャッシュレス決済サービスとしては使うことができない。

 正直,イライラしてくる。とにかくまず,新型コロナウイルスでの国民の健康把握のために「マイナンバーカード」「マイナンバーカードmini」の所持を原則とすることをまず徹底させてはどうか 自治体は,ICチップ,写真なしの「マイナンバーカードmini(仮称)」をただちに配布することを提案--新型コロナをいい機会に全手続きにマイナンバーを活用 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/8/5。正式なマイナンバーカードへの切り替えは,その後で順次行えばいい。おそらくこのキャッシュレス決済サービスとの紐づけが,年配者を中心にマイナンバーカード登録の大きな壁になっていると分析する。