jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

屋根の材料への疑問--補修が効かない、塗装の繰り返し

家の屋根の材料といえば、昔は瓦だった。土を成形して焼いて作る。

   現在の屋根材料の主流はベストコロニアルである。こちらは、要はコンクリートの板である。

   瓦屋根は重い。昔の建物は柱も太くて屋根の重みを十分に支えていた。寺院建築では、土台が石で、その上に柱を乗せただけで、最終的に屋根の重さによって安定させていた。

   屋根瓦の特徴は、破損したらその箇所だけを簡単に取り替えることができることである。

   戦前まではまだ瓦屋根が主流だったが、家の構造は簡素になって行った。このため、重い瓦屋根だと地震のときに家がつぶれてしまうことが多く発生した。

   ベストコロニアルは、瓦よりはるかに軽く、しかも価格も安い。分譲住宅では内装にお金を掛ける必要があり、安いベストコロニアル屋根は持ってこいの選択だった。

   ところが、ベストコロニアル屋根は基本的にコンクリートの薄い板を重ねながら並べるだけなので、隙間ができる。また、コンクリート板そのものも天候の影響で反ったり、ヒビが入ったりしやすい。屋根の点検で歩いただけで割れてしまったりする。

   しかし瓦と違って、割れたところだけを取り替えるという手法が使えない。標準化されていないからである。また取り外しも非常に面倒な作業となる。

   結局どうするかと言えば、均一に塗装することで、穴や隙間を埋めることになる。

   この塗装は、要はペンキなので、持って5年である。5年ごとに屋根塗装を依頼しなければならなくなる。足場を組んでの作業なので、費用もかかる。

   これに代わる材料としては、金属屋根がある。金属なので、錆の問題はあるが、クルマの塗装のような焼き付け塗装が開発され、15年は大丈夫という製品がある。

   いいじゃないか、ということで採用したが、結局は15年が寿命だった。酷くなる前に打つ手段は、やはり塗装しかないらしい。

   しかも、これも部分的に交換することができない。なんとも歯がゆいのである。

   工場のように、大きな波板を並べれば、板単位での差し替えも効くが、それでも15年後に同じ仕様の材料が手にはいる保証はない。

 結局,「職人」がいなくなった,あるいは居ても単価の低い屋根は担当しない,ということなのだろう。工業製品と同様,製品寿命まで持たせればそれで良しで,あとのメンテナンスも型どおり,最後は全取り換えである。

 かつて,瓦屋根でところどころ色の違う瓦が入っている家を見かけた。破損などの不都合でそこだけ瓦を入れ替えたのだろう。そういう家が,今はないということである。家を作る工務店と,塗装業者は,まったく別々の動きをしているらしい。たしかに訪問や電話営業などで,壁塗装を持ちかけられることがある。結局,そういうところでまたトラブルが増えているのではないだろうか。

 終(つい)の棲み家などないものか--20年しか持たない家って何だろう - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/8/20 と書いた。ベストコロニアルは,軽量のため地震対策としては有効だったが,豪雨や暴風の機会が増えている現在,ベターな屋根のあり方を考え直す必要があるのではないか。金属屋根は,ヒョウを伴う最近の豪雨にはより適していると思うが,風にはそれほど強くない。一端がめくれ始めたら,一気に全体が飛んで行ってしまう危険がある。

 衝撃にも強く,かつ比較的軽量という意味では,FRP(強化プラスチック)という選択肢もあるようだ。さすがに1枚で作るわけにも行かないので,つなぎ合わせの接着にノウハウが要るし,細かい細工ができないのが問題かもしれない。また,結局は塗装が必要ということのようである。

 クルマの車検は,業者に渡したらあとは引き取りに行くだけでいいが,家のメンテナンス工事は,足場を組んだりシートを掛けたりと大掛かりで,ご近所にも迷惑がかかる。特に塗装工事は,塗料を飛ばさないという保証がまったくなく,近所迷惑なのでなるべくやりたくない工事である。素人でも簡単に補修できる仕組みはないか,と思うのだが,悩みどころである。

 ちなみに,自宅の庭に小さい物置小屋を自作した際は,天井板の上にはFRPの波板をただ並べただけである。おそらく,10年で寿命が来るが,DIYセンターに行けば同じ仕様の波板を購入できるので,取り替えれば済む。ただしFRPの波板は,上に乗ることができないのが施工時やメンテ時の悩みとなっている。単なる板状のFRPシートでもいいかもしれない。