「空飛ぶクルマ」すぐに開発禁止を要望 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/11/9。ここのところ,日本でも人口密集地での試験飛行が成功したといった記事が盛んに見られる。NHKの朝ドラ「舞い上がれ!」のストーリーの展開も,中小企業集団による空飛ぶクルマ開発に寄せて来ている。
ドローンと同様,4個のプロペラで駆動するスタイルが中心かと思われたが,中には20個近いプロペラを有するものまで登場している。とにかく「空飛ぶクルマ」ありきで,飛ばすためには手段を選ばないと言わんばかりである。
離島との間を飛ばす,あるいは山あいの隔離集落との間を結ぶというのならともかく,最終的には市街地での発着まで想定しているはずである。それなら,発進時,到着時の尋常ではない騒音問題がなぜ議論されないのか,不思議で仕方がない。
ヘリコプターの遊覧飛行でも,乗降場は市街から離れた不便なところに発着場はある。プロペラの大きさが大きい分,騒音も大きいが,発着時の風も激しい。空飛ぶクルマなら騒音や風はどうかと言えば,やはりうるさいし,風の巻き上げも激しい。なぜ,こういう代物が市街地での交通手段としても検討されているのか,不思議でならない。
筆者は,現在はガソリンエンジンのクルマに乗っているが,電気自動車(EV)には関心がある。といっても,環境に優しいからという理由ではない。搭載するリチウムイオンバッテリーの寿命が3年と短く,そのリサイクル方法も確定できていない。バッテリーを作るためのリチウム鉱石が,世界でもチリに偏在しており,国際的に安定的に供給される保証がない。実際に材料の価格が高騰している。
EVの良さは,エンジンの音がしないことと,エンジンをかけるときのスターターモーターが必要ないので,起動時,発進時が非常に静かなことである。住宅街で特に夜間に,クルマを出し入れするとき,できるだけ静かにしたいが,エンジン車では難しい。EVあるいはハイブリッド車は,その点で筆者が導入したい車種である。
しかし総合的に考えると,充電への不安がどうしても拭えない。発電用のエンジンを搭載するe-Power車が,今のところベストな答えになっている。
しかし,空を飛ぶためには,ヘリコプター並みの騒音と風の発生がある。モーターでプロペラを回す方式が採用されるとしても,かなりの騒音になる。とても市街地で使えるものではない。しかも,ドローンと同様,いったんコントロールを失った場合,落下するしかない。単一のプロペラのヘリコプターに比べれば,たとえば4個中1個が停まったとしても残りの3個で着陸することは可能と思われる。プロペラの個数が増えれば,それだけ安全性は増すが,騒音,さらにメンテナンスが困難になるという問題も起きる。車内の騒音も相当大きくなるはずであり,ヘッドホンの着用が必須となることが予想される。どうも快適な旅とは思えない。
あまりにも限定的な使い方しかできない危険な乗り物にしか思えない現状で,開発も導入も進めるべきではないと,改めて思うのである。輸送量も限られている。
たとえば,離島との間で飛ばす場合,着水しても安全な構造を作ることは非常に難しい。救命用ボートまで積み込んででも運用するのだろうか。リチウムバッテリーを積んだまま水に浸かることによる危険もある。高速船で十分だと思われるのだが,なぜ空飛ぶクルマなのだろうか。
ドローンも含めて,空を飛ぶ代物はもっと慎重に開発を進めてほしい。現在,世界の9割のドローンが中国製である。空飛ぶクルマも,中国が先行している。この辺りの開発力には頭が下がる思いだが,道義的な歯止めがまったく効かないのが困ったものである。EV車の生産,リチウムイオンバッテリーの生産も中国がリードしている。地球の環境問題に歯止めがかからない段階で,立ち止まる勇気が必要と考えるのだが,おカネが絡んでくると,人間は狂ってしまうようである。