筆者は,前期高齢者という立場を利用して,電車では席に座るようにしている。電車を降りるのは終着駅である。席の前に立って吊り革に捕まっている人が,先にドアの方に向かって動き出す。そのあとに席から立って,降りようとする。
しかし,前に立っている人が,吊り革から手を離して動き出すまでは,筆者は立てない。なぜかと言えば,吊り革を握っている手のヒジが上に上がっている間は,このヒジがいつ自分の頭の上に落ちてくるかわからないからである。
さらに,吊り革を離さないまま,移動を始める人がいる。しばらく動いてから吊り革から手を離す。すると,吊り革は振り子の原理で戻ってくる。これが,席から立ち上がったちょうどそのときに,自分の方に飛んでくるのである。
振り子の原理は,小学校の理科の授業で習ったはずである。手を離した位置から,ちょうど反対側まで大きく振れる。手を離した本人はすでに遠く前に移動している。その吊り革の握り手の硬いプラスチックが飛んでくる。手を離した本人は,知らんぷりである。
どうして,振り子にならないように真っ直ぐ手を離して移動しないのだろうか。
たしかに,電車が停止する直前に大きく揺れる可能性はある。したがって,停止するまで吊り革を握っているのは理解できる。
しかし,停まったらすぐに吊り革から手を離せばいいのではないか。いつまでも握っていなくてもいいのではないか。