jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

円安✕インバウンドでラーメン4000円,ハンバーガー4000円,1泊20万円--それで日本国民を切ることが正義なのか

海外旅行に行くと,旅行者が利用するホテルは地元では高いと言われていた。新婚旅行で行くような場合は,まあスイート・ルームを選ぶこともあるだろう。筆者の場合も,1泊2万円ぐらいの部屋に泊まったように思う。国内旅行でも,有名ホテルなら2万円は普通ぐらいなので,海外旅行でも高いとは思わなかったのだが,現地ではバカ高い宿泊代だったのだという。

 しかし,当時の円ドルレートは1ドル150円と,今とあまり変わらなかった。2万円だと133ドル。100ドルを超えると地元の人は泊まらないと聞いた。

 ところが現在,海外の旅行者が泊まるホテルの価格が10万円とか20万円も普通なのだという。1ドル150円だと666ドル~1000ドルほど。アメリカでは,卵のパックが6ドルで,円換算だと900円。現在は日本でも250円ぐらいなので4倍ほどだが,少し前だと150円だったので6倍も高い。日本人の感覚で2万円のホテルは,アメリカ人だと8万円~12万円で同じ感覚なのだという。

 日本人がこの値段の国内ホテルを使うことは,よほどのことがなければないだろう。しかし,ラーメンやハンバーガーは,日本人にとっても普通の食べ物である。これが今,4000円だという。4倍なら1000円,6倍なら666円。海外の人にとっては,問題ない出費なのだが,日本人も同じ飲食店を使うことは普通である。

 今の若い人にとって,食べ物の価値は,1つは見た目のインパクトである。食べることよりも,まず写真を撮り,動画を録り,これをSNSにアップすることが第一目標である。当然,そのあとはその食べ物を食べる。おそらく,ものすごくしっかりした味付けだったり,複雑な味の組み合わせだったりして,情報発信に事欠かない。ネタ代も含まれているのだろう。1杯4000円のラーメン,1個4000円のハンバーガーでも,十分元を取った気持ちなのだろう。

 筆者にとっては,マクドナルドのビックマック単品が380円から480円になったのでもけっこうショックで,フライドポテトが250円というのもあり得ない値段で,もはや数年来マックにも行っていない。

 いまさら誰も,マックのハンバーガーを持て囃すことはない。しかし,話題になる食べ物なら,何時間並んででも手に入れ,写真や動画をネットにアップすることで,自己満足と他人満足と,そして実質的には広告収入や評判を得ることにしか生きがいを覚えないのだろうか。

 かつて日本人は海外でカモにされ,高いカネを払わされてきた。今,海外からのインバウンド客に高いカネを払わせて,600円の価値のラーメンを4000円で売って平気な顔をしている日本人のえげつなさが見えてしまい,情けない気持ちになるのである。

 コロナ禍で売上半減が続いた反動で,ガツガツ儲けようといういじましさが見える。一方で,日本には子供食堂がなんと9000個所もあるのだそうだ。1個所で30人分の1食を賄ったとして,27万人が食べるのを困っている家庭なのだという計算になる。

 儲けを還元しないのは,今の好調が単なるバブルだと理解しているからであり,次のバブル崩壊に対処するために貯め込んでいるというにすぎない。

 とにかく,価格にせよ,飾り付けにせよ,盛り付けにせよ,食べ物で遊ぶこの日本の今の国民性は,国際社会にとって恥である。それを煽るテレビ・メディアも,それをネタに活動するお笑い芸人も,さらに東大卒のクイズ・タレントも,すべてバカの一言に尽きる。本当に何も日本に残らない,また次の空白の10年になってしまうと考えるのである。