jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

都知事選候補者に見る「民主主義の崩壊」--次回は政治専門家や評論家の出番を期待

東京都知事選挙が「◯◯の自由」「◯◯の権利」を振りかざした候補者に荒らされている。ちょうど,ルールのないYoutubeを連日見ているような気がする。筆者のブログのような批判コメントも続々と出されている。まさにYoutube状態である。

 Youtubeは,個人からの動画による情報発信という強力な自己主張の場を形成してしまった。動画をアップした瞬間に,顔も声もその生活様式もすべてオープンになる危険なツールと筆者には思えるのだが,それを逆手に取って,「自己主張」「自費出版」そして「売名行為」という前向きなツールとして使おうという人がこれほど多いとは思わなかった。

 この同じような売名行為を,リアルな選挙の場を荒らしているのが,今回の都知事選挙である。組織的に24人もの候補を立ててジャックを図った政治団体ももちろんそうだが,有力4候補にしても,この人たちの言う事をフォローする都民がいるのだろうか,と思えるような,一種の売名行為に近いものを感じてしまうのである。元アナウンサー,元キャスター,元地方自治体市長,元自衛隊幕僚長と,なぜ東京都の長になろうと思ったのか,不思議でならない。かつての参議院選挙のように見える。

 考えてみれば,これまでの都知事選挙でも,作家,タレント,学者,といった人気投票のような選挙で選ばれた首長が続いている。それでも,主要政党の公認を受けて立候補している。その候補が当選すれば,公認政党がバックアップした政治が行われるだろうという予測ができた。公認の付かない候補は「泡沫候補」と呼ばれ,「売名行為」というレッテルを貼られて消え去って行った。

 今回の都知事選挙は,政党の公認がほとんど取られていない。どの候補者が当選したとしても,その公約を実現するための政治ができない。そして都民の都知事選挙への関心は低く,おそらく投票率は30%に満たないと予測される。その中で,組織票で切り崩しを図っている政治団体によって組織票が動員され,得票が分散することが予想される。その結果を持ってまた大っぴらな主張を繰り返すことになるような気がする。

 今回の都知事選挙は大荒れになるだろう。そして新しい都知事が決まったあとも,ゴタゴタは続くと予測する。場合によっては早期に次の選挙が必要になるかもしれない。

 もはや,政治専門家や評論家の皆さんは,ワイドショーでのんびり座ってグダグダとコメントしている段階ではないと思うのである。次回は,自ら立候補して,普段の自分の主張を持って政治をどう変えたいのかを堂々と表明すべき段階なのではないだろうか。ワイドショーのキャスターやMCという素人が出馬するのではなく,政治の専門家が政治をリードすべきなのではないか。

 もはや温々と講演や執筆でカネを稼いでいる段階ではないと思うのである。