砂上の楼閣「日本」--足元がなく自己崩壊は目前 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/5/27 と書いたのは,日本が沈滞から抜け出すための活路として筆者が提案している水素エネルギー開発が,すでにオランダで先行して大規模な水素製造プラントとパイプラインの新設を進めているニュースを聞いたからである。CO2の排出削減の決め手としての水素エネルギーで,技術力があり,特許の数でも世界一の日本が,結局ビジネスでは遅れを取る,というパターンに苛立ったからでもある。
日本は自由主義国家であり,代表制による議会民主主義国家である。議論を尽くした後に多数決で決めたことが決定事項になる。しかし,議会で過半数を占めている政党の意見が通るのは自明の理である。これを「多数決による民主主義」と言っていいのだろうか。単に「与党政党による権威主義国家」と言えるのではないだろうか。
同じ議会民主主義国家であるアメリカやイギリスは,2大政党制である。常にこの2党が交代しながら政権を担う。その都度,方針は変わるが,それはその時の政権政党の行政が失敗したことで政権交代が実現する。
しかし,日本では第二次世界大戦後の民主化で台頭した自由党とその後継である自由民主党による1党支配政党制が続いている。これでは議会制民主主義とはとても言えない。
これを許した理由の1つは,自由党を結党した吉田茂のカリスマ性がある。その後も,所得倍増計画を発表した池田勇人,沖縄返還を実現した佐藤栄作,中国との国交を回復した田中角栄など,ひと癖もふた癖もある政治家が政権政党から輩出した。しかし,野党からはカリスマ性のある政治家はいまだに出てこない。
しかし,今の自民党にカリスマ性のある政治家が見当たらない。いや,野党にも見当たらない。単に「寄らば大樹の陰」的に,「自民党公認」をもらって選挙に出て,安泰的に政治家になろうとする気概のない議員屋ばかりである。
その自民党の打ち出す政策が,どれもこれも要領を得ない内容であり,また野党は野党でただその挙げ足取りしかできない。みんなが「おおっ」と感心するような政策を誰も出せない。あるいはその政策を推し進めるカリスマ性のある政治家がいない。
結局,国会ではお互いに重箱の角をつつくような議論とは言えないやり取りで時間ばかりかけて,結局は会期切れギリギリで強行採決で自民党が逃げ切る。この「議論」の間の時間がムダになる。
本気で政党政権を取るためのカリスマ性のあるリーダーに登場してほしい。筆者は,豊田章男氏がトヨタ自動車会長に--次は日本再生に乗り出してほしい - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/1/28 とコメントした。トヨタ自動車グループという強大なグループ力によって,彼の下に実務のできる政治家が集まることが期待できる。現役でも,OB,OGでも,そして大学の研究者なども,モノづくりをベースとした新しい日本を作る政党づくりに集まってくるのではないだろうか。
オランダは,国の8割が海抜0m以下で,環境問題には敏感だった。狭い国家に原発を作るわけにもいかず,風力発電を中心に自然エネルギー開発に熱心だった。そのオランダが,環境問題の切り札である水素エネルギーに本気で取り組むのは当たり前とも言える。
しかし日本は,環境問題に対する危機感が希薄である。周りを海に囲まれた日本は,なんでもかんでも「水に流す」文化である。かつての公害問題も,川や海に流せば済むと考えるし,ゴミも収集場に出せばそれで終わり,と考える国民である。その後,どう流れて行くのか,どう燃やされるのか,考えない。海や空に拡散させてしまえば終わり,と考える国民だった。今回の福島第一原発の汚染水放出も,海外から見れば「またか」と思わせる。
しかし今回の汚染水放出は,基準をクリアしている。他国から批判を受けているが,ではその批判をしている国は,海洋汚染をしていないかといえば,答えは「No」である。かつての日本の海洋投棄と同じことを今も繰り返している。それを取り締まる法律もない。
経団連会長の椅子を固辞した豊田章男氏だが,日本経済を引っ張ってきた二次産業の中心人物としての原動力に,改めて期待したい。アメリカのトランプ氏に匹敵する,しかも常識のあるリーダーシップを発揮できると考える。ほかには,世界を動かせるだけのカリスマ経営者はどこにもいない。電話会社はせいぜいプロ野球チームを買い取るぐらいの実力しかない。
東京都知事になる程度の求心力では,国を動かすことはできない。作家,国際政治家,テレビキャスター・・・その程度では器が小さすぎるのである。
まあ,もっとも世界中でも器の大きな人材はあまり見当たらない。一時代を築いたビル・ゲーツ氏,そしてもう少し正気に戻ったイーロン・マスク氏のような,いずれも「実業」の世界で行きてきた人に,世界のそして地球の運命を任せたい。ネットの中だけで生きているJ.B.氏やM.Z.氏には,任せられない。まして,AIを弄ぶヤツは許せない。