2024年10月17日に俳優・西田敏行さんが76歳で亡くなった。それから1週間,引き続きいろいろな関係者のコメントがネットに流され続けている。いかに多くの方に影響を与えてきたかがわかるというものである。
かつては,お通夜や告別式,お別れの会,といったイベントの前後に参加者に対してメディアが取材し,これがテレビで報道される。挨拶をした代表者や近い関係者など,せいぜい10人ぐらいのコメントが流される。それで終わる。
インターネット時代,SNS時代に入り,関係者がメディアに取材されるだけでなく,自身のブログなどに書き込んだコメントを勝手に引用されてネットに拡散される。よほどほかに報道するネタがないんだなとも思わせる。
出演遺作となった「ドクターX」や,続編が作られた「釣りバカ日誌」など,出演作が紹介される中で,「池中玄太80キロ」の名前が出てこないことを不思議がった人がいた。まだまだ延々と関係者コメントが続くのだろうか。
西田さんと付き合いのあった人それぞれに,ストーリーがある。いくらでもコメントが出てくる。安易な情報発信である。そのうち,微妙なコメントも出てくる。炎上を目指しているようにしか思えない。
筆者はたまたま,西田さんの自宅の近くで仕事をしたことがある。病気療養期間中とのことで,自宅にいらっしゃったようだが,姿を見たり話をすることはなかった。大邸宅というわけでもなく,質素な暮らしをされていたように思う。それだけに,この突然の大騒ぎが納得いかない。静かに送ってあげてほしいと思うのである。
スポーツ選手に対する誹謗中傷も,なかなか無くならない。いや,むしろエスカレートしている。ネット社会の嫌な一面が,こういう形で続いていることが耐えられない。プラットフォーム管理者の良心も感じられない。これはかつての匿名掲示板「2ちゃんねる」以降,延々と続いている。公共メディアとしての新聞や雑誌では,今でいうコンプライアンスについて徹底的な教育と何重ものチェックが加えられていた。凋落を続ける新聞や雑誌,そしてテレビでの放送事故や暴言など,あらゆるメディアが無法地帯に足を突っ込んでしまっている。古い人間として,ダメなところはダメと言い続けていきたいと思う。