アメリカ大統領選挙で,トランプ氏が当選しハリス氏が落選した。日本の自民党総裁選挙で,石破氏が当選し,高市氏,小泉氏らが落選した。
ロシアはプーチン氏,中国は習近平氏,イスラエルはネタニヤフ氏,そしてウクライナはゼレンスキー氏。世界の各国のリーダーに誰が選ばれるかは,まさに時の運でもある。
国民の人気投票なら,結果は別になっていたかもしれない。いわゆる一般受けすることと,実力は別問題だし,まして数の論理が左右する選挙では,何等かの形で数を集めた方が強い。そこに派閥,宗教,利害関係などが絡んでくるからややこしい。
マスコミや評論家は,一般国民を装っているが,実はかなり独善的である。結果が出るまでは自分たちの論理で展開し,結果が出たらコロッと宗旨替えしてしまう。その変わり身たるや,恐ろしい。
それにしても,トランプ氏の品格のなさは格別である。よくもあそこまで相手を罵倒し,汚い言葉が使えるものだと感心する。性格も過激だし,人格も問題があるように思える。しかし,そのぶれない姿勢,一貫した論理,そして「I am the First」ともいえる自信によって,態度や言葉に反映される姿は驚きである。
一方で,ハリス氏やバイデン氏は,相手によるかく乱作戦に見事に乗せられて主張の穴をさらけ出さされた点に弱さがあった。女性,マイノリティ,中流階級という立場を利用しきれなかったのかもしれない。
石破氏は,自民党内での支持率は高いが,国民受けするキャラクターではなかった。丁寧な物言いが逆に不信感を招いた。普段笑わないキャラがニコニコキャラを演出して,これも反感を招いた。高市氏は安倍晋三色,小泉氏は偽小泉純一郎色と,何か信用が置けない印象だった。
前首相の岸田氏は育ちも良く,人当たりも良く,外交的にも優れた人材だったのだが,彼の時代にちょうどパーティー券のノルマ超過分を裏金とする問題が起きたことで退陣に追い込まれたという不幸な面はある一方で,彼自身の「増税メガネ」とも呼ばれる無節操な予算の使い方にも問題があった。
リーダーシップと独裁は紙一重の差とも言える。ある一線を越えたところで,自分の周囲が皆「自分派」に見え,自分の主張がすべて全員に受け入れられているように錯覚してしまい,実際は反対論も忠告もあるにも関わらず,見えてこなくなってしまうのかもしれない。
それにしても,敵対する相手を完全に罵倒するトランプ氏やネタニアフ氏,そして相手とまったく議論をかみ合わせない東京都知事選挙2位候補や元兵庫県知事が,なぜか絶大な人気を受けているのはどういうことなのだろうか。それは一線を越えて周囲の声が聞こえなくなってきているというよりも,一種の宗教的な暗示をかけているかのような恐ろしさを感じるのである。正直,この人たちを敵に回したら何をされるか分からないといった恐怖も感じる。「カリスマ性」でもない,何か「オカルト系」の恐怖である。
イスラエルでは完全な恐怖政治が敷かれている。アメリカは分裂の危機にある。中国やロシアもクーデターが起きかねない。その火付け役になるのが北朝鮮の行動かもしれない。ロシアへの協力で1万5000人の兵士をウクライナ戦争に派遣し,その大半が死亡したとも伝えられている。さすがに国内でも問題視が起きているのではないか。次の一手,つまりたとえばアメリカへのICBM発射などが起きることで,世界が大混乱に陥るのではないか。
ここが日本の登場のチャンスだと思うのだが,今のどの政治家の顔を見ても,トランプ,ネタニアフ,プーチン,習近平,そして金正恩と正面から向かい合える人物が見当たらない。自民党も公明党も立民党も国民党も共産党もその他もすべて同様である(もちろん,以前から筆者が支持している人物はいるが,あえてここでは名前は挙げない)。
政治でのリーダーシップが取れないのだから,経済,環境,エネルギーなど,世界に貢献できる分野でリーダーシップが発揮できるような思い切った動きが必要である。