jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

韓国の非常戒厳--韓国国民のその後行動に対し,平和ボケした日本ではピンと来ないのでは

2024年12月3日午後10時過ぎに,韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「非常戒厳」令を宣布した。議会の議決により6時間後の4日朝4時には解除宣言が出された。非常戒厳により,軍隊が国会に入ろうという動きがあり,それを阻止する国民との間で軽いイザコザになったが,概ねエスカレートすることなく,事態は収拾した。

 その後,4日の朝から韓国国内は,ユン大統領を弾劾しようというデモに100万人規模の国民が集まった。戒厳令という民主主義の中では許されない行動に大統領が出たことに対する怒りや失望だった。

 韓国では,若者男性に2年間の兵役が義務づけられている。最近の例では,世界的スターとなったBTSのメンバーも全員が兵役につき,そこから活動を復帰している。軍隊は韓国の人にとっては当たり前の存在であり,有事には国を守るという意識も高い。その軍隊を動かして実効支配する戒厳令が使われたのだから,「民主主義に対する挑戦」と捉えて大統領弾劾の行動につながるのも理解できる。

 しかしこのデモ行動がかなりの規模で自然に発生したことに筆者は驚いた。別にSNSで扇動されたわけではないだろう。戦争などの国家存亡の危機や,クーデター,内紛といった武力行為に対して,国民の行動を制限し,武力で対抗するための体制を取るための法律である。平時に発せられるものではない。大統領がこの最後の手を使ったことに国民が怒りを覚えたということである。

 日本には現在,兵役がないので,軍事態勢がどういうものかを実感できている人は皆無だろう。実際,戒厳令が出されたとしても,武力行使できる軍隊もなく,動員される人もいない。さらに,戒厳令を発したことに対する感覚がまったくないと思うのである。

 国会に野党から提出された弾劾決議案は,与党の棄権退席によって成立しなかった。それでも,国民のデモは続き,野党は2度目の弾劾決議案の提出を考えているという。

 日本で,これに相当するような首相の独裁・独走は起きないし,起きたとしても緊張感のまったくないニュースになるだろう。デモも行われないのではないだろうか。

 12月10日,ノーベル平和賞の授賞式がノルウェーオスロで開かれた。筆者が驚いたのは,街中でたいまつを持った人々が核兵器廃絶を訴える行進をしていた映像を見たことである。授賞式の会場では,代表を含めて日本人が多く参加し,記念撮影の雛壇にも並んだ。本来なら,敗戦のどん底からはい上がって世界2位の経済大国になったタイミングで,世界に平和を呼び掛けることがインパクトがあったと思う。バブルが弾けた後の衰退した中でのノーベル平和賞受賞が,タイミングを外してしまったと思う。しかも,まだウクライナでもガザでも紛争が収まっていない。ようやくガザで不完全ながらも一時停戦となり,ウクライナでもトランプ次期大統領の訪仏で停戦に向けた動きが見られる中で,西側の論理によるノーベル平和賞が日本に授けられたことが,火に油を注がないか,気にしている。平和ボケした日本人そのものも,ピンと来ていないのではないだろうか。

 2024年のノーベル賞は,物理賞,化学賞のいずれもAIの研究者が受賞した。こちらもAIによる世界の暴走が人知では止められない事態を予感させる。西側の論理であるノーベル賞そのものが,ほとんどの部門で破綻しているのを感じる。せめて,生理学・医学賞のmtRNAの解明が,今後の人類の健康と繁栄に寄与してほしいと願うばかりである。