新型コロナウイルス対応ワクチンの高齢者向けの接種が始まった初日。その日の早朝の段階で「大規模なワクチン廃棄が懸念される」と筆者は書いたワクチンの一部廃棄が心配な事態に - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/13。このケースは、無計画な供給と無計画な解凍、そして無計画な接種運用によって、ロジスティック上の空白が生まれるために起こる無駄の話であり、トヨタ生産システムなどの物流の管理ができれば解決される問題として取り上げた。
しかし、初日に起きた無駄な廃棄は、「予約した人が来なかった」から残ったワクチンを廃棄した、というものだったので、ちょっとびっくりしてしまった。
近くの人に打つとかをまず常識では考えるだろうし,世界ではもう4億人の人が1度目の接種を受けているというのだから,使いまわしの方法や,再保管での不具合が出るのかどうかなど,先例は山のようにあると思われる。今や日本は完全に後出しジャンケン組なのに,それで負けているのはよほど愚かである。「もし余ったら」をまったく想定していなかったとするなら,それは本当に大バカモノではないのか。現場の担当者もそうだし,政府も厚労省も,何も想定していなかったのか。何のためのシミュレーションだったのか。
ファイザー製のワクチンは、冷凍保管後、冷蔵庫で3時間で解凍、あるいは室温で30分で解凍するその後、1.8mLの生理食塩水で薄め、これを0.3mLずつ、接種用の注射器で取り出して接種する。これがどうも「6回分」と言われていることの答えらしい。
さて,この薄めて使用状態になったワクチンは,室温に近い温度の生理食塩水を加えることでほぼ室温状態になっていることが予想される。原液の段階で,2度~8度の冷蔵庫で5日~1週間の保管使用ができることになっているが,では生理食塩水を加えた状態ではどうなのか。もう一度凍らせることは無理としても,再び冷蔵庫に移して翌日までの約10時間保管することはできないのか。今のところ,そこの情報がない。
残ったら速やかに廃棄する,ということがおそらくマニュアル通りの運用なのだろうが,何度も書くが,八王子市で初回の供給でワクチンを接種できる人はわずか1900人。残り16万人が,電話予約もできず,いつ接種してもらえるかもわからず,不安な日々をまだ数ヶ月過ごさなければならない,というのに,この1900回分のうちの数回分にしても廃棄してしまった,という事実は,なんとも信じがたく,「バカか,お前ら」と言ってしまいたくなる。潤沢にバイアルが供給されているのなら,マニュアル通りでもいいが,いまは緊急事態ではないのか。
「余ったワクチンは長期間保管できない」の“長期間”とは,何を意味するのか。数分か,数時間か,数日か。きちんと管理すれば,翌日の朝の使用には問題はないのではないかと思うが,新品至上主義の日本人は,「夜越しのワクチンなど,受けねえ」ということなのか。希望者やまだ接種できていない医療関係者が逆に積極的に利用して,知見を提出してくれれば,これから全国で続々と出てくるであろう“余ったワクチン”を有効に使う方法が出てくるのではないだろうか。
【情報追加】ワクチンの取り扱いマニュアルには,凍結状態から解凍したバイアルに生理食塩水を注入してから6時間以内に使う,とされているらしい。仮に夕方5時に使用状態になり,1時間の間に3人に接種後,3人分が余ったとすると,これを使えるのは夜の11時までということになり,翌日使えないので廃棄,ということのようである。
先に書いたが,これを冷蔵庫で冷却保存して,開封後18時間後の翌日朝11時までは使えるような方法はないものだろうか,というのが調査してほしいことである。
もう一つ,海外ではワクチン接種の「キャンセル待ち」登録ができるスマホアプリがあるそうだ。やはり海外でも同じようなキャンセル事情は想定されていたということだろう。
たとえば,1つの自治体が50万人の住民を抱えているとすると,この情報はマイナンバーで管理されているだろう。65歳以上が20万人,20歳から65歳未満までが20万人,20歳未満が10万人として,ワクチン接種対象はまず最初の20万人。年齢も住所も把握されているとして,まず地域ごとに接種会場や担当医をざっくり割り当てる。個々の医院まで割り振るだけのワクチン数が揃っていなければ,集団接種会場に割り当てる。その上で,事前に接種可能日を登録する。これを当日のワクチン供給数によって割り当て,接種の連絡をし,行けない人は次に送る,ということを行政の指示で行えばいいのではないかと思う。この方法はまた提案してみる。