jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

樹木の力を甘くみると地震で壁が崩壊する

我が家のイヌは,散歩で自分の好きなところを歩く。短い時は,通りを渡ったところで用を足して戻ってくるだけ。長い時は1時間近く市内を歩き回る。見知った道だけでなく,時にはまったく知らない道を歩く。街中は平らではなく,結構あちこちに坂がある。坂があれば,家の周りにはコンクリートの擁壁が巡らされている。

 家の庭にはだいたい樹木を植える。たいていは庭の端に植える。つまり,擁壁の近くに植えられることになる。最初は細い樹木も,10年もすれば結構な太さになる。

 幹が太く,樹高が高くなるだけではない。土の上の部分を支えるために根も大きくなる。背が高くなると風に強く吹かれるため,これを支えるために根はさらに幅を広げ,土を強く掴むようになる。

 一般に樹木を植えると,根が地面にしっかり張ることによって,地盤が強固になり,土砂崩れなどを防ぐと考えられている。基本的に植林はこの効果を狙っている。しかしそれは,山の斜面のように樹木が伸び伸びと根を張れる場合である。庭の隅に植えられた樹木は,最初は普通に大きくなるが,そのうち根が横にも広がってコンクリートの擁壁にぶつかるようになる。擁壁が十分に強固なら樹木の方が負けてしまうが,そのうち樹木の方が勝手,擁壁を押し始める。コンクリートは圧縮する方向の力には強いが,伸ばしたり曲げたりする方向の力には弱い。樹木の根は擁壁を横から押し,擁壁を曲げる方向に力がかかる。1枚成形のコンクリート擁壁は比較的強いが,ブロックで積み上げた擁壁は,つなぎ目にヒビが入りやすい。樹木の根に押されればさらに簡単にヒビが入る。

 イヌの散歩中によく見かけるのが,この擁壁にヒビの入った家である。ブロック塀のつなぎ目にヒビが入った塀も多い。もっと大きなところでは,お城の石垣も問題がある。石垣の上にはたいていサクラや松が植えられている。この樹木が数十年経つと,樹木の根が石垣を押し始める。膨らんで見える場合もある。

 大地震が来たら,家の擁壁,ブロック塀,そして城の石垣などが一気に崩れる恐れがあると考えている。イヌの散歩をしながらも,ヒビの入ったブロック塀や擁壁を見ると,いつ崩れたり倒れたりするかもしれないと気が気でない。

 樹木の根によって,舗装が盛り上がっているのが,街路樹である。街路樹の周りの歩道の下に張った根が歩道の舗装を持ち上げてヒビが入っているところがよく観られる。

 街路樹は,地震よりも,台風や大風によって揺らされる。最近の大風は,電柱もなぎ倒すほど強い。街路樹も風に煽られて根こそぎ倒れる可能性がある。舗装にヒビが入っているような場合は,ヒビがない場合よりも明らかに弱い。

 筆者の家にも以前はキンモクセイとツバキ,ドングリの樹木が植えられていた。ツバキは枯れてしまったが,キンモクセイとドングリはどんどん大きくなり,枝の手入れも手に負えなくなってしまったので,物置を設置するのに伴って切って根っこも起こした。1mほど掘ってもまだまだ下に根が張っていて,途中であきらめて根を切ってしまうほどだった。このまま伸ばし続けていれば,根がブロックの擁壁を押してしまったかもしれない。

 樹木がなくても,ブロック擁壁にヒビが入っていなくても,大地震ではかなりの被害が出ることが予想される。多少の補強では被害を防ぐことはできないと思っている。毎日イヌの散歩をしていても,気になる場所があちこちにある。街に緑がなくなるのは悲しいが,危険な擁壁の近くの樹木は,伐採するなども考慮すべきかもしれない。