jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

東京五輪無観客開催でボランティアと警備JVは何をするのだろうか--会場周辺へ人が押し寄せ,小競り合いから暴徒化する危険性

組織委が五輪警備決起集会 無観客でも「警備に楽勝はない」 延べ60万人警備態勢 (msn.com) 2021/7/12。東京オリンピックの警備は,組織委員会が先導する「東京2020大会警備JV」という553社の警備会社から60万人の警備担当が業務に当たるようである。

 一方,東京オリンピックのボランティアは,【東京五輪】五輪ボランティア不足否定の裏で「バイト大量募集」の怪|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com) 2021/4/21の記事によると,組織委員会が募集した「大会ボランティア」が8万人,地方自治体が募集した「都市ボランティア」が3万人登録されているという。大会ボランティア8万人の業務の内訳もそのままコピーさせていただくと,

「案内」(チケットチェック等)が1万6000~2万5000人

「競技」(競技運営等)が1万5000~1万7000人

「移動サポート」(運転等)が1万~1万4000人

「アテンド」(通訳)が8000~1万2000人

「運営サポート」(選手村の手伝い等)が8000~1万人

「ヘルスケア」(医療)が4000~6000人

「テクノロジー」(IT技術)が2000~4000人

と書かれている。このうち,「案内」は無観客になったため要らなくなったと考えても,他の業務は継続して必要になる。選手の数が仮に半分になったとしても,この少ない方の数字は必要なのかもしれない。

 一方,この日刊ゲンダイの記事では,各競技場指定でのアルバイトの募集の様子を伝えている。仕事の内容はボランティアとほぼ同じく案内やサポートなど。ボランティアが無給(ユニフォームなどは支給)だがアルバイトは時給が支払われる。なんだか変な構図である。ちなみに,ボランティアもバイトも,期間中はバブルの内外を行き来する。ボランティアへのワクチン接種も結局は1回が限度。バイトに至っては,おそらく若い人なので無接種ということになるだろう。バブルなど,もともとないに等しい。

 さて,警備JVは,大会会場,選手村のセキュリティーを担うのだろうが,当初は選手,関係者,重要人物などの保護とともに,マラソンなどの市中競技では観客との間に立ったり,会場への観客の入退出の際の列の整理やトラブルの解決など,通常のイベントの警備と同様な仕事を担うはずだった。ところが大会会場も無観客,マラソンも無観客で開催ということになると,「試合を見ようと無理やり侵入しようとするファンを阻止」するという仕事をすることになる。「整理」業務から「阻止」業務になる。

 整理なら,トラブルとしては列の割り込みや流れが遅い,膨らむなどに対する対応という程度だが,阻止の場合は場合によっては力づくの業務にもなりかねない。日本なら暴徒化することはないかもしれないが,サッカーやバスケットボールなど,海外で活躍する日本人選手も出場するような競技では,女性ファンの侵入もあるかもしれない。一度均衡が崩れたら,あとは日本人でも暴徒化して会場になだれ込む,などという事態も考えられる。まして,オリンピック貴族さまたちが仮にバスで乗り付けたとすると,これに対する意識も平常心ではいられないのではないか。警備も命がけという可能性もある。

 会場を取り巻くように,多くの日本人や海外からの観光客が集まるだろう。会場の中には入れない。しかし競技は進行している。一種のパブリックビューイングのような人だかりができるのではないか。これを帰宅させるのも警備の仕事なのだろうか。どのような混乱が起きるのか,心配である。ひょっとして会場の周りにバリケードを築くのだろうか。それでもこれを乗り越えるムーブメントがなくなるわけではないだろう。

【追記】国立競技場を取り巻く金網のフェンスが設置されていることを,7/16のNHKニュースで知った。高さ3mはあったろうか。台場に設置された聖火台も,近づくことができないという。日本人はこの線引きで納得して帰るのだと思われているのが,逆に悲しい。【追記終】

 欧州で行われたサッカーの世界大会でも,イギリスで行われたテニスのウインブルドン大会でも,決勝戦は観客あり,しかも定員まで入れて開催された。事前の陰性証明書の提示以外は,会場内はマスクなし,応援自由だった。大会後,数千人の感染者が確認されたが,これが会場でのことなのか,大会後の街中での飲み会なのかの分析はできていない。しかし,ワクチン接種が進んでいることによる重症化リスクの低減効果で,仮に感染者が出ても重症病棟の逼迫や死者の増加は限定的,という判断で有観客が実現した。実際に試合を見られた観客は,満足だったろう。

 これに対して,試合を見られない東京オリンピックでも,おそらく会場付近に多くの人は集まるだろう。その大部分はワクチンを接種していない。集まって不満を爆発させる中で感染が拡大すれば,残念ながら重症化のリスクは高く,再び医療逼迫と死者数の拡大を招く結果が見えてくる。不満のはけ口が警備担当者に向けられて暴徒化したり,その後で街に繰り出して,路上飲みで騒ぐ,などという事態も予想される。

 以上を考えると,アルバイトサイトでの募集が,いちばんおいしいことになる。お金をもらえて,うまくいけば会場に入れて,遠目でも試合を見ることができるかもしれない。直接は見させてもらえなくても,生の音は聞くことができるかもしれない。

 とにかくこの東京オリンピックは,「無観客開催の静かな大会」ではなく,「各会場で大混乱の起きる大会」になるのかもしれない。したがって,アルバイトで会場に潜り込めた人も,海外のメディア関係者も,ボランティアも,会場から一歩外に出たら,そこはゾンビがうろつく荒廃した街かもしれない,と思って行動しなければならないかもしれない。いかに礼儀正しい日本人でも,オリンピック貴族やメディアの横暴に対してはガマンにも限界があるような気がする。