jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「東京Reborn(リボーン)」--箱モノでは未来は見えなかった。来日した選手・メディアに全会場の観覧ツアーを提供してあげたい

「東京Reborn(リボーン)」(NHKスペシャル)を見た。本来なら,東京オリンピック2020を契機とした“東京再生”事業の「プロジェクトX」である。日本の建設技術の粋を尽くし,SDGs(持続可能な開発目標)を世界にアピールする事業である。

 東京オリンピック1964のために建てられた国立競技場を解体してゼロから作り直した。地球温暖化の影響か,日本の天候も荒れる傾向があり,観客席の上に屋根のない旧国立競技場では荒天時の観客動員に難がある。たしかに,東京ドームを皮切りとする日本の屋根付き競技場は,雨天時の開催もでき,冷房も効かせられ,選手にも観客にも興行側にもメリットは大きい。日本中の木材を使うというコンセプトもすばらしいし,また建設の秘話も感動的である。3年間に渡って作業をされてきた建築会社,職人の方にも敬意を評したい。

 一方,代々木体育館も利用するに当たって耐震基準への見直し工事が行われたという。天井パネルの落下を防ぐための工夫が加えられたという。長く使い続けるという意味でのSDGsの精神が生かされたと言えよう。

 そのほか,有明の東京アクアティクスセンターのように工期短縮でSDGsに貢献した建物や,木材の大梁で支える有明体操競技場など,SDGsを謳った建物が多い。コンセプトとしては問題なかった。

 しかし,結果としてはすべてタダの箱モノになってしまった。開会式を含めてすべて無観客での開催となる。リアルな感動を伝えることはできなくなった。

 「オール・オンライン・オリンピック」で行こう - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/3/20。筆者の提案は4ヶ月前である。海外からの観客を入れない,という決定がなされたのに併せて提案した。選手は,素晴らしい会場でリアルに最高のパフォーマンスをしていただくのに合わせて,これを応援する仕組みを日本のIT技術を駆使した双方向バーチャルな設備を構築することを提案した。

 観客席すべてに等身大のディスプレイを設置する。1台1台が,チケットが当選した人と1対1でつながる。観客は自宅で観戦し,ディスプレイにはその観客の姿が映され,自宅での応援の声がディスプレイのスピーカーから会場に流される。選手が観客席を見上げれば,そこに応援する観客の姿がディスプレイに映され,応援の声が聞こえてくる。日本の5G通信技術を使えば,信号の遅延はほぼゼロであり,まさにリアルタイムである。

 現在の無観客での開催の場合,会場は静まり返り,オリンピック貴族など3000人程度がメインスタンドに座って応援をする,というスタイルになる。開会式ではさらに人数を絞って950人になるという。入場行進を見てくれる人もいない。応援の声も拍手もない。しかも入場曲も変更になってしまった。終了時間が夜の23時30分。ここから選手村に戻ったり,各地の競技会場の宿舎に戻らなければならない。選手にとって,何もいいことはない。選手は,競技でパフォーマンスすることが仕事である。開会式で行進させられることが仕事ではない。

 せっかくなので,「東京リボーン」の各国語版を急きょ編集してDVDに焼き,来日した選手の皆さんやメディアの皆さんにプレゼントとして渡すとともに,競技が終わったら各会場を見学して説明を受けられような「東京リボーン観覧ツアー」を提供し,少なくとも日本そして東京は今回のオリンピックに向けて「SDGs」と「復興五輪」という2つの大きなテーマで取り組んで来たことを伝えてもらいたい。勝った選手も負けた選手も,そして大会に参加できなかった選手も,すべてにである。

 COVID-19対策での不手際やストレス,選手村での不具合,そして無観客でなかなか盛り上がれない状況の中で,おそらく唯一,日本・東京が世界に発信できる最後の「お・も・て・な・し」になると思う。