jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

火事・山火事に「破壊消火」。江戸時代に学ぶ

火は「消しても消えていない」。AIで効率良い消火活動を - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/8/27。1軒の火事に消防車20台が駆けつけても,鎮火までに2時間。しかもほぼ全焼である。地球温暖化に伴う世界の異常気象の中で,熱波に襲われた地域で山火事が発生すると,ほとんど手に負えず,1週間以上も燃え続けるというケースが多く見られる。

 火事に対しては,水が万能である。燃えているものの温度を下げ,空気との遮断を進め,蒸発した水蒸気がさらに空気を遮断して,火事を抑える力が強い。自然界で最も量を確保できる。水に代わる媒体がなかなかないのが実情である。

 しかし現代の火事は,初期消火に失敗した際の燃焼加速が速い。あっという間に手に負えなくなってしまう。その後は,延焼を防ぐのが精一杯で,火災の中心は燃え尽きるまで燃えてしまう,というパターンになる。

 つまり,火災が起きたときには,消防車と同時に,ユンボと呼ばれるショベルカーや,油圧のハンドを持つ解体重機を投入し,人の救助後は容赦なく解体して上から水を集中的に掛けて消火する方法を採ることを提案する。

 初期消火ができていれば,家財道具も家も復旧することは容易である。しかし,初期消火に失敗したあとは,家財道具は基本的にすべて使用できなくなる。火の熱,消火の水に耐えられるものは何もないからである。さらに,家そのものも,壁や柱などが火の熱に曝されて強度を保つことができない。家という形を保っているために,消火のための水が十分に回らない。したがって消火に時間がかかり,周囲にも迷惑がかかる。ならば,どうせ建て直さなければならないので,最初から解体することを前提とした消火をすることで,短時間で消火し,類焼を防ぐことで被害を少なくする,という方法を採るべきだと考えるのである。

 これは,江戸時代の消火方法と同じである。江戸時代の火消しは,「破壊消火」である。火が燃え広がる方向にある家屋を線状に取り壊して類焼を防ぐ。燃えている家は引き倒す。「防火帯」を作る,という方法である。

 山火事も同様である。ただ水をかけるだけでは,あっと言う間に燃え広がってしまう。類焼が広がらないように,とにかく風の方向に一定の幅の防火帯を作る。

 かつては,斧やチェーンソーで木を切り倒して防火帯を作っていたが,これではもう間に合わない。フェラーバンチャ、ハーベスタなどの林業用重機でどんどん伐採してしまうことである。そして火の進行を足止めしたところで集中的に消火する。

 どの段階でこの破壊消火を行うかについては,議論があるところだが,木造住宅では火が建物の外に出ている段階,鉄骨住宅でも,壁や窓を1面破壊することで消火時間を短くできるので,同様に火が建物の外に出ている段階で,採用すべきだろう。

 一方,山火事でも発見からすぐに破壊消火部隊も出動すべきだろう。特に,住宅が近くにあるようなケースは,この防火帯を設ける作業になるべく早く着手すべきである。