アメリカのアフガニスタンからの撤退や,北朝鮮のミサイル開発,中国の領土拡大政策など,それぞれの国が世界に対してどう振る舞うのかについて考えていた。
世界全体の1つのムーブメントとして,SDGsがある。多様性を尊重し,全員幸福を目指すという考え方である。しかし,各国の動きを見ていると,多様性尊重という視点とは真逆な考え方が見えてくる。
日本で「イスラム国」と当初報道されたIslamic Stateが,なぜ"国"と名乗ったのかということを考え,「国」とは何なのだろうかということを考えてみると,基本としてそれぞれがそれぞれの「思想」の下にある集団であると定義できそうである。
アメリカも元々はイギリスの植民地であり,ヨーロッパのキリスト教の思想の一環として建国されている。かつては,先住民であるインディアンを排除し,黒人を奴隷として使い,ヨーロッパ出身の白人の国だった。キリスト教も一神教であり,他を排除することを厭わないが,協調の精神もあるところから,多様性のある合衆国という形に発展したのだろう。20世紀まではキリスト教をベースとした1つもまとまりがあった。しかし,この構図が21世紀になって大きく崩れたように思える。
イスラム教も一神教なので,他を排除しようとする。それが"国"としての1つのまとまりであると主張したのが,Islamic Stateだと思われる。こうして考えてくると,現在の中国は習近平を代表とする中国共産党というまとまり、北朝鮮は金正恩を中心とするまとまり、という構図が見えてくる。
ここまでは当たり前なのだが、21世紀になっての違いは、この中心からゲリラ的に拠点を世界各地に広げていることである。
第二次世界大戦でも、日本は各地に拠点を拡大した。しかし、当時の拡大戦略では物資の供給ラインを確保しなければ継続して領地を拡大して維持できない。実際、補給路を絶たれた日本は各地で惨敗し、日本の世界支配計画は失敗した。天皇という中心があった日本も、影響力は限定的だった。
一方、21世紀は、情報網という補給路ができ、世界中どこでもそれぞれの中心とつながった状態で活動できる。物資は現地調達できる。そして支配行動を、テロやスパイの形で進めることができる。アルカイダのアメリカ同時多発テロはその最初の現れだった。
おそらく次に行動を起こすのは中国であり、ロシアであろう。たとえば日本にも多くの中国人が入りこんでおり、中国共産党が必要とする情報収集を進めているだろう。一気に株が買い占められて中国企業になってしまうといったことも起こりうる。
北朝鮮がミサイル実験を続けている。これは脅威だが日本が降伏するような事態にはならない。しかし、中国の戦略では、日本そのものの存在が消えるような事態もありうる。
ミサイルのような単発の攻撃すら食い止める手段を持たない日本が、複数の無人の攻撃用ドローンによる集団攻撃を受けてはひとたまりもない。
なにしろ、今の日本には中心がないからである。精神的な中心がいない。誰も「日本」のことを考えて行動していない。SDGsばかり強調して、すべての人に権利があるとする。しかしそれでは政治も行政も立法も成り立たない。
中心になる人は誰か。早く決めなければならない。しかし,今の自由民主党の次期総裁が誰になろうと、中心にはなれないような気がする。
結局、すべての中心になる人がいる集まりは「国」と言っていいだろう。戦前の天皇を中心とした日本は「国」だった。戦後、昭和天皇の存命中は、精神的な中心があった。平成の時代になっても、戦争処理の平和外交を展開された今の上皇様は、精神的な中心があった。令和になって、天皇の求心力はなくなった。Emperor という呼び方にも違和感がある。国民に喜ばれない結婚話にもあきれてしまう。
政治家は国内を向いており、外を向いていないので、海外の「国」勢力の侵略にまったく無抵抗である。アメリカが軍隊を引き揚げたら、あっという間に侵略されてしまうだろう。
時代は変わったのである。物理的な入国も、サイバーな侵入も許してはならない。国民を軍隊に起用するのは無理なので、半導体デバイス技術、レーザー技術、ロボット技術、無人機制御技術、そしてセンサー技術を再度復興し、自己防衛システムを構築する必要があるだろうと考える。