COVID-19の影響の規模が,第5波初期の7月初旬のレベルまで減少してきている。全体の数字は下がっているが,筆者の懸念は,死亡者数が相変わらず全国で30人,東京で10人台で減少が横ばいになってゼロになっていないことと,自宅療養者数が2000人前後で減りきっていないことである。中等症用の病床の余裕はできつつあるが,退院者数も1日あたり1000人前後と減ってきており,病床の余裕の出方が甘いのが気になる。
自宅療養者にも,抗体カクテル療法が適用できつつあり,そのまま入院せずに回復するケースが増えていることが背景にあるとも思われるが,相変わらず,死亡者数がゼロに至っていないのは,重症化からの回復が難しい病であることを示している。
おそらくこの2021/9/30までで緊急事態宣言は解除されることが予想される。来週からはフルで出社になるのかなと思うと,せっかくのいいリモートワーク環境が崩れ,また普通の仕事人に戻るのがもったいない気がする。「働き方改革」のいい機会だったのだが,筆者の勤め先は,結局,アルコール消毒液の設置と窓開け,マスクの常時着用以外の何の前向きな対策を講じなかった。貧すれば鈍するの典型的な会社だったのが悲しい。
感染確認者数が減っている背景に,ワクチン接種の進展があることは間違いない。しかしワクチン接種者は,仮に感染しても自覚症状がなく,したがってPCR検査の対象にならず,そのまま社会活動を続けることで,ステルス・スプレッダー(見えない感染拡大者)となる。海外では引き続き,無償でのPCR検査によって感染陽性者の炙り出しが進んでいるため,入院者数などは増えないまでも,感染確認者数はまた増える傾向にある。日本はPCR検査や抗原検査の態勢を結局広く採用しなかったために,感染陽性者の炙り出しができず,低い数字しか出ていない。これが第6波につながるのではないかという懸念がある。
「海外にワクチン接種率も追いついたのだから,マスクなし生活に戻れる」と勝手に判断する人が増えないことを祈りたい。マスク着用は,日本なら日常化しても8割の人は従うが,残り2割のヤンチャな人たちが結局またスプレッダーになってしまうのだろう。
寒い季節に向かい,また密室状態が再来する。飲酒飲食の環境も戻ってくる。電車の窓明けも限定的になるだろう。冬場の第6波に向けて,何をしなければならないか,再考する必要がありそうだ。
正直,フルワークで一日中マスク着用状態は,筆者にとっては耐え難い。高機能なHEPAフィルターを通して無害な空気を身体の周辺に送るような,送風パーティションを考えてみることにしたい。