日本の鉄道の駅や車内のアナウンスは、なぜこんなに情報量が多いのだろう。誉めているのではない。無駄な内容が多すぎるという批判である。
海外の鉄道は、そもそもアナウンスがほとんどない。郊外に向かう列車など「次は〇〇」と口で言いながら車内を往復するだけである。あとは線路を走る車両の音と風の音しかしない。駅に近づいても、改めて声がけもない。降りるか降りないかの判断は乗客の権利だからだ。実にはっきりしている。
駅も同様である。日本のように各駅から準急、急行、特急まで入り乱れて走っている国は少ない。次に来る電車は決まっているアナウンスなしで間違えることもない。本当に到着してから「〇〇行き」と一言アナウンスがあるだけである。それが遅れていても別にアナウンスもない。遅れているだけだからだ。
ところが日本はこの30倍の情報をマイクで大声でがなり立てる。録音テープで流した後に、同じことをまた駅員がマイクでアナウンスする。
「次に来る電車は〇〇行きです」「足元の白い白線よりお下がりください」「電車が参りました。扉が開いて降りるお客様が済むまで動かずにお待ちください」「押し合わずにお乗りください」「お乗りになったら、ドア付近に立ち止まらずに奥にお進みください」「まもなく発車します」「扉に挟まれないようにご注意ください」「電車から離れてお歩きください」などなど。
とりあえず、記憶にあるのを羅列したが、これにCOVID-19関連の「マスク着用」「窓開け」「テレワーク」「時差通勤」のアナウンスが続く。終わったかと思ったらもう次の駅である。全行程の2/3はしゃべっているのではないか。
そんなに情報、必要ですか。
駅のアナウンスが早朝から始まるというので、近隣の住民から苦情が出て、朝のアナウンスをほとんどなくした駅がある。おそらく、不便なことはほとんどないと思う。ならば、どの駅でもどの電車でも、「次は〇〇」だけでいいのではないのか。
イヤホンを着けた乗客がおそらく半分ぐらいはいるだろう。もはや、アナウンスの情報は聞こうとしていない、あるいは聞きたくない、という状態である。
ほとんどの車両にのドア付近に、行く先と次の駅名が自動的に表示される。それを見るだけで十分である。録音テープの案内だけでも十分である。
とにかく、客との接触を極端に減らそうとしているのではないかと思ったりする。中にはモンスター乗客もいるから、職員も大変だが、もっと車内を見渡して指導するなど、昔の車掌さんのようなコミュニケーションがあってもいいのではないか。
まず、アナウンスを極力減らすところから始めてもらいたい。海外研修にも行ってもらいたい。