骨に刺激を与えると、再生機能が活発になり、骨そしょう症などの防止に役立つといわれている。
特に、簡単で効果があるといわれているのが、「カカト落とし」である。立ったままつま先で伸び上がりのストンとカカトを落とす。この程度の刺激、振動が、特に脚の骨に働くのである。
まあ自宅ならいいかなと想うのだが、駅のホームなどで実行している人を見ると、ちょっと自分はやりにくいかな、と思ってしまう。
一方、まだある程度、脚が健在なら、「階段下り」がいいかな、と思ったりする。刺激が少し強すぎるかもしれないし、段を踏み外せばケガにつながる。意識する必要もあるが、1段ずつゆっくり目にカカトをしっかりと落としながら下りるといいかなと思っているのである。
通勤の機会が増え、いろいろな天気のときに、それに応じた靴を選んでいる。雨の時は滑りにくいトレッキングシューズを使っている。一方、晴れた日はスニーカーからモカシンなど選んで楽しんでいる。
このうち、カジュアルなモカシンがあるのだが、ちょっと変わっていて靴底が薄い。ジカタビのような履き心地なのである。舗装した道はいいが、舗装していない道では、そのゴツゴツが足の裏を刺激する。ちょっと痛いこともある。
このモカシンで街を普通に歩いても、カカトに結構シャープな振動がやってくる。歩くだけでも、結構な刺激なのである。
そこでハタと思いついた。今の靴は異様にクッション性が高いのではないか。そのために、現代人は歩行能力が衰えやすいのではないか。
昔の人は、とにかく健脚である。筆者の義理の母も、市内ならどこでも歩いていた。片道1時間で結構な登り下りがあるところでも、テクテク歩いた。
昭和の戦前までは、下駄や草履の世界である。地面の舗装もほとんどなかった。カカトへの震動や足の裏への凸凹刺激など当たり前だった。これが健脚の素だったのではないか。
戦後はスニーカー(当時は運動靴)で、そのクッション性はどんどん良くなった。実際、例のモカシンと普通のスニーカーを比べてみても、差は歴然である。
足を解放するために、たまには下駄もいいかもしれない。また、クロックスも意外に合理的なのかもしれない(筆者は、穴から入ってくる小石や水溜まりが気になって好きではないが)。
実際、革靴を履いていた勤め人時代、脚は弱くなっていたように思う。足を拘束され、靴底も滑りやすく、夏は蒸れるし手入れも大変である。今は、黒いスニーカーで快適である。ビジネスマンの服装ももう少し進化したほうがいいかなと思う。ビジネスジーンズもいいし、靴も革靴がおかしく見える時代になりつつあると思うのである。
ということで、靴のクッション性が現代人の脚を弱くした、という仮説の実証のために、さらに歩き方の研究を進めてみることにする。80を過ぎてもスタスタ歩いていた父の姿が目に浮かぶ。ここが意外に目標かもしれない。