富士山が噴火すれば、大量の火山灰で首都圏は地獄に変わる…政府の専門家会議が天を仰いだ「残酷な事実」 (msn.com) 2022/7/21。このタイトルを見て筆者は,「首都圏がボンベイのように火山灰に埋まってしまう」とか「頭大の火山弾が飛んで来て逃げ場を失う」とか「溶岩流が首都圏を襲う」とかイメージしてしまった。記事を読んでみると,火山灰が10cm積もると多くのクルマは動けなくなるとか,火山灰が少し積もっただけで電車は信号制御ができずに止まってしまうとか,火山灰の中の成分が水に溶け込んで多くの病人が出るとか,なんだか間接的な被害の話ばかりで,拍子抜けしてしまった。
確かに交通がマヒしたり,水道が使えなくなったりすれば,首都圏の機能は失われる。しかし,正直言ってこの程度の被害なら,鹿児島市は桜島の噴火で日々火山灰の影響を受けているが,きちんと機能している。もちろんそれなりの苦労は必要である。
首都圏が災害に弱いのは,すでに地震や大雨でも実証されている。こんなにも脆いものかと思ってしまう。東日本大震災の地震で電車は半日止まったら,何百万人が歩いて自宅に帰るという大混乱が起きた。一極集中がもたらした弊害である。その後,「地震で帰宅困難になったら会社に留まる」というルールができたが,もう形骸化しているだろう。オフィスの備蓄もいい加減なものである。おそらく,照明も空調も効かなくなったオフィスに留まろうという社員はいないだろう。
大雨で道路が冠水すると,その水は地下鉄に流れ込む。荒川の氾濫時にも耐えられるという触れ込みだが,逆にちょっとしたゲリラ豪雨に即座に対応できるのか,そういう訓練がされているのか,誰が判断するのかもいい加減である。
「首都圏を移転する」という話題は,何度も出ては消えている。正直,本気で移転することなどだれも考えていないのではないか。政治家の財産の多くは首都圏の土地や建物であり,その価値が一気に落ちてしまうというのが理由だろうか。
東京の道の複雑さを改めて分析する--世界中で最も乱雑な配置の街。福島を新たな首都として本気で除染して再開発することを提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/4/2。改めて,福島に首都機能を移転させることを提案したい。交通機関から道路の配置まで,いちから設計し直すだけの場所がある。
移動させるのは行政,立法,司法の機関だけである。企業は東京に残ればよく,この2者をつなぐのは,ネットワークである。官民の物理的な近さが,癒着を引き起こす。これを機会に,政界との離脱を図るべきなのである。
テレワークが基本のスタイルになれば,東京への企業集中もなくなる。そして,除染が進まず,住民が戻ってこない福島の再開発ができ,また福島第一原発の廃炉も早く進めなければならず,一石二鳥ではないかと思うのである。磐梯山も噴火の危険性があるが,集中が緩和されていれば問題は少ないし,それにあわせた交通機関を一から設計すればいい。