jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

今こそ「音声認識」でデータ入力を--HER-SYSとの連携で入力の合理化を

HER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム)が破綻しつつある。「全国の感染確認者数」を最終的に確定するための登録システムである。

 全世界の感染確認者数を日々把握しているのが,WHO(世界保健機関)の統計〈https://covid19.who.int/〉や米ジョンズ・ホプキンス(JH)大学の統計〈https://github.com/CSSEGISandData/COVID-19/tree/master/csse_covid_19_data/csse_covid_19_daily_reports〉なのだが,おそらくこのデータベースへの日本からのデータ提供がこのHER-SYSから行われている。各国の州単位,都市単位のデータなど数千の情報を積み上げ,国レベルの感染者数を合算し,リアルタイムで世界の感染状況を提供している。WHOは2020/1/3以降,JH大学は2020/1/22以降の全データを提供している。さらにこれをさまざまなグラフやチャートでも分析提供している。

 現在の日本の1日の感染確認者は約20万人。しかし,たとえばアメリカの2022/1の1日の感染確認者数は約140万人(現在も毎日約20万人)と桁が違う。

 これまでも,世界各地の情報を知る際,「情報が把握できない」という解説が多かった。情報インフラ,通信インフラが不十分で情報が掴めないことが多いと思っていた。しかし,新型コロナウイルスの感染者数把握では,日本のシステムのもたつきが気になっていた。

 アメリカではグリーンカードイスラエルでは健康保険番号など,国民1人1人の把握がデジタル的にできるシステムが確立しているのに,日本では国民全体を把握できていない。せっかくマイナンバーで国民に番号を配布したのに,これがまったく機能していない。マイナンバーをデジタル的(自動的)に取り扱えるマイナンバーカードの発行も,国民側の自由意志に委ねている。「登録したら1万円」などとカネをばらまいているだけで,発行率が50%から伸びない。

 マイナンバーカードに健康保険証機能を持たせることに躍起になっており,この登録をすればまた7500円あげます,と一流俳優や野球選手などを登用した宣伝を打ちまくっているが,全国の医療機関のうちこのマイナンバーカード健康保険証を読み取れる機器を備えているのが20%未満,しかも初診料が高くなる,と指摘されている。なんだかチグハグで場当たり的な政策としか見えない。

 第7波で1日の感染確認者が20万人を超えているが,アメリカで同じ数が登録されていても「医療崩壊」や「登録崩壊」などの言葉をまったく聞かない。ワクチン接種証明で飲食店やイベントへの入場を確認するときのQRコード発行・認識の仕組みも,欧米では2021年の段階でスマホベースでスムーズに展開されたが,日本では結局,海外渡航時のワクチン接種証明を紙で発行する,というだけに終わった。

 濃厚接触を検知して知らせるcocoaアプリも,感染者数が激増した第6波,第7波でようやく盛んにアラートが出るようになり,これによって保健所への問い合わせが増え,自主的な抗原検査やPCR検査による陽性者も増え,本当に熱が出て発熱外来を訪ねる人以外に検査目的,非感染証明のための来診も一気に増え,発熱外来がパンク状態になるという結果を招いているように思われる。

 とうとう,感染者の全数把握を目指すHER-SYSへの登録内容の簡素化が始まった。ワクチンの接種回数,住所の番地,名前のふりがなを入力しなくていい,という対応である。たしかに必要ないと思える。マイナンバーを入れれば個人は特定できるはずなので,人数の把握レベルなら不要である。

 それでも,マイナンバーの12桁の数字を間違えずに入力するだけでも大変である。そもそも,マイナンバーを入れてもマイナンバーのデータベースとつながっていないので確認できないからである。

 現時点のさまざまな手続きで,筆者はこれまでの運転免許証ではなく,マイナンバーカードを提示するようにしている。1回目のワクチン接種の際も,マイナンバーカードを提示したら逆にびっくりされた。しかし,運転免許証の場合は免許番号を控えられ,名前,住所,顔写真を照合されるが,マイナンバーカードだと名前と住所だけしか見ていないような気がする。

 全国の医療機関においてすら,マイナンバーデータベースとオンライン通信をして,マイナンバーと氏名などの情報確認を行った場合,マイナンバーデータベースがパンクしないか,情報漏えいの心配はないのか,国のシステムは本当に大丈夫なのか,と心配になる。

 日本人の9割が所持しているiPhoneは,マイナンバーカードを読み取る機能を持っている。医療機関での業務用のスマホを1台,マイナンバーカード読み取り用に指定してマイナンバーカードでの登録をスムーズにする仕組みを作るとともに,マイナンバーのデータ入力を手打ちではなく音声認識で行えるようにすること,マイナンバーと氏名などの照合のためにマイナンバーデータベースを介するのではなく,定期的(たとえば1ヶ月に1回)に個々の医療機関のローカルのデータを更新するような仕組みにして,すべてセンター経由でなくても個人確認ができるような仕組みを提供することなど,柔軟な対応が必要だと考える。