jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

抗菌・除菌・高洗浄・こすらず--最近の洗剤は環境に対して大丈夫なのか

家庭排水によって,川や湖,海とな富栄養化し,赤潮や藻の大量発生,ヘドロ堆積などといった環境破壊につながる,といった話は,高度成長期に多く聞かれた。そのときの原因となったのは,リン入りの中性洗剤だった。「石鹸を使おう」という運動が起こり,同時に家庭で料理に使う食用油の廃油を集めて自家製石鹸を作る,という運動が盛んに行われた。琵琶湖の汚染がこの運動によってかなり改善されたと言われている。

 マイクロプラスチックによる海洋汚染が問題になると,洗顔剤に混ぜた微小なプラスチック粒子のスクラブが原因の1つと言われ,スクラブを入れることが禁止された。その後,単純に少しでもプラスチックの使用を減らそうとして矢面に立たされたのがレジ袋である。またファストフード店やコンビニで無料で大量に配布されるプラスチックスプーンやフォークもやり玉に上がった。リサイクルが進んでいるはずのペットボトルが大量に海に流されているし,お菓子のプラスチックパッケージも大量に捨てられている。歯ブラシも相変わらずプラスチックである。むしろ,レジ袋は低級のプラスチックなので,比較的分解されやすい。結局,100円ショップなどで同等の袋が大量に販売され,ゴミ袋として使用されてしまっている。

 環境汚染の元凶とされた中性洗剤も,いまや平気で大量に使われている。しかも濃縮タイプが増えている。使い勝手は上がっているが,必要以上に消費される傾向があり,排水中の洗剤成分は減っているわけではない。安全性や環境汚染に対する影響は,いつどのように評価されたのだろうか。

 そこにここ10年ぐらいは,抗菌・除菌をうたう洗剤・柔軟剤が大量に市場投入されている。高洗浄という高密度洗剤も作られている。さらに,こすらずに汚れを落とすという風呂用洗剤などは,明らかに1回の洗剤使用量が4~5倍はある。

 抗菌,除菌成分は,いわば抗生物質である。これを大量に排水に流して大丈夫なのか。高密度洗剤によって大量に洗剤を排水に流して大丈夫なのか。

 昨今の養殖魚の死亡や,不漁などの原因は,日本からの排水だけではないと考えられるが,日本からの排水も何らかの影響を与えているのではないか。それが心配である。