プラスチックが海洋汚染を進めていることが報じられてもう何十年にもなるだろう。深海調査船が,海底で見つけたプラごみが50年前のものだったり,カメがクラゲと間違えて飲み込んだらしいとか,アシカが漁網に絡まって体に網が食い込んだりとか,さまざまなニュースが流れ,そのたびにプラスチックを使うのをやめようとか減らそうとか,さまざまな運動が起きる。レジ袋削減,プラスチックストローを紙製に替えるなどの運動も進められる。
一方,ロシアによるウクライナ侵攻が長引いて冬場に入ってしまい,世界中で天然ガスの供給がうまく行かなくなり,日本でも電力逼迫が予想され,2022/12/1から「できるだけの節電」の要請が政府から出た。しかし,もともと低消費電力の蛍光灯が中心で,白熱電球からLEDに替える動きもここ20年でかなり進んだ。仮に照明を少し暗くしたぐらいで節約できる電力は限定的である。一方で,暖房や冷房,冷蔵庫に使う電力はほとんど削るわけにもいかない。テレビ局は「照明を減らしています」と,さも節電に協力しているようにアピールしているが,カメラも放送機器も,さらに電波発信などに使う膨大な電力に比べれば微々たるものにすぎない。
袋のサイズを小さくしたり,スプーンの柄の途中に穴を明けてプラスチックの使用量を削減するなどという動きはあるが,結局1本のスプーンが捨てられたら,それが海に流れて50年経ってもなくならない。コスト削減にしか効果がないのではないか。
どんなにプラ不使用運動があっても,連日のようにプラスチック容器もレジ袋も生産され,供給されている。量が半分に減ったとしても,結局今から50年先まではゴミとして増え続けるのに変わりはない。
世界中でプラスチックをやめる,という決断がされないかぎり,海洋汚染は減らないし,すでに投棄されたプラごみはさらに50年先もまだ残ってしまう。プラスチック包装の代わりにアルミ箔と紙箱(板チョコ方式)--プラスチックの透明性は不必要と気持ちを切り替えよ - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/6/4 にも書いたが,結局プラスチック包装はまったくと言って減ることはない。
レジ袋を買わなければならないとなっても,ゴミをまとめて捨てるのにレジ袋は便利なので,これを100円ショップやスーパーで買うことに変わりはない。結局はプラゴミは減らない。
極論から言えば,プラスチック包装禁止,電気使用禁止,というのを抜け駆けなくできれば,その本当のありがたさを知るだろう。中国の新型コロナの対策としてのゼロコロナ政策のように,プラスチック包装製品はすべて没収,電気の供給もすべてストップ,といった極端な政策を1週間してみてはどうだろうか。(そうすると,筆者もこのブログを書けなくなるし,今の時期だと本当に凍死してしまうかもしれないが)。
プラ削減,電力節約だけでは,結局電気代のちょっとの節約以外にほとんど効果はない。正直,この「ちょっとした貢献をすることで正義を語る」のは,まさに偽善者とよぶべきだろう。もちろん筆者も,偽善者の1人であることは認識している。羽毛の人型寝袋が,今年も活躍中である 最後の切り札は「宇宙服」 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/1/7。