「性別変更の「手術要件」は憲法違反」という家庭裁判所の判断が出された(性別変更の「手術要件」は憲法違反、家裁支部が初判断 トランスジェンダー当事者は「率直にうれしい」 (msn.com) 2023/10/5)。訴えを起こしたのは,戸籍上は女性で現在は男性として生活している方である。
性別の問題,夫婦別姓問題,職業選択問題,育児制度問題など,男女の性別に関わる現在の問題と,憲法が作られた戦後の視点との乖離を感じる。さらに言えば,平和憲法と称していた時代からすれば,現在の世界情勢は平和とはかけ離れた状況にあり,防衛問題もこの憲法では対応できないように思えてくる。
性別変更の場合,問題視すべきなのは,男性から女性に変更した場合に限るべきではないかと考える。何が問題かと言えば,手術要件がなければ「性犯罪」の助長の可能性を否定できないからである。「男性器を残している状態で女性と認めるわけにはいかない」と判断すべきと筆者は考える。
女性器を残して男性として生活しても,性犯罪の加害者にはなれないから性犯罪は起こらない。今回の憲法判断でも,この性転換の方向についてもっと議論すべきではなかったかと思うのである。
LGBT+の権利が認められ,性別に関係なく使えるトイレなども設置が検討されているが,懸念されているのは,女性と自称していても男性としての性的能力のある“自称女性”による性犯罪である。LGBTXの中でもT,つまりトランスジェンダーについては,心の病であり,他の性嗜好とは別に考えるべきだと以前筆者は主張している(トランスジェンダーの心の課題と,マイナンバーによる制度確立の提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/10/16)。トランスジェンダーの方は,性の不一致について精神的に悩んでおり,その最も大きい悩みが外見上の違いである。ならば,性別変更に伴って手術を行わない限り,その精神的な苦痛は根本的には解決できないと思う。しかし,戸籍上の女性が男性として生活する上で,女性器を残していても本人に問題はないし,性犯罪も助長されない。その逆の男性が女性として生活するケースが,世の中では受け入れがたいケースがあると思われるのである。
世の中で起きている性犯罪の加害者は,すべて男性である。被害を受けるのは女性である。「性的欲求を抑えきれなかった」という動機は,男性にしか発生しない。ならば,戸籍上の男性が女性として生活する場合は,手術要件が必要である。でなければ,性犯罪の加害者になりえる条件を持っており,女性としては受け入れられない。
現在の性別変更に伴う手術要件が,優生保護法(1948年~1996年)の下で強制的に行われた不妊手術とイメージが重なる面はある。自身の身体を傷つけるのを否定する気持ちは重要である。したがって,他人に対して迷惑や犯罪被害が発生しない男性への性別変更についての要件緩和やあってしかるべきだが,外面上,また性犯罪の可能性のある男性器については,手術要件はあって然るべきではないかと考えるのである。
問題は,芸として昨今もてはやされる女装タレントである。本人たちはただの演技であり化粧であり,それを好むお客の存在があってビジネスモデルが成立している。クローズな世界では許容される面もある。しかし,自称女性として女性の領域に踏み込むことは許されないが,その可能性を否定できないし,それは女性にとっては脅威でもある。
精神的なトランスジェンダー問題と,性嗜好の問題は,切り離して考えなければならないのではないか。そこを「何でも平等」にしようとするから,話がややこしくなるように思える。