jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

クルマとARで死角を無くす--車載の超大型ディスプレイとどちらが先か

ARメガネ花盛りの2024年CESショー--開発者の思い入れが伝わり,期待大 - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2024/1/13)と書いた。その後も,Apple Vision Proの販売数限定の話題や,日本の対抗版,そしてサングラス型ARメガネの試用リポートなどがニュースになっている。まあ,基本的に電車の中で映画を観たり,寝っ転がって映画を観たりでき,そのクオリティが予想以上だ,というところで止まっている印象である。

 最初のARは,戦闘機のヘルメットの前面シールドに映し出される敵機を狙う照準だった。また,夜間の暗視カメラも片目に映像を映して夜間歩行を可能にするという意味ではARである。基本的には戦争のための武器装備であり,今も精度を上げて使われているだろう。

 これを民間転用したのが業務用のスカウターで,メガネに取り付けた形で片目に設計図や配管図,作業マニュアルなどを映して,実際の作業に役立てる。メンテナンスや製造現場で使われている。

 さらに,建築業界では設計の電子化が先行したため,建設前の建物の中をウォークスルーする仕組みとしてプレゼンテーションに使われている。クルマの設計分野でも使われている。

 さて,筆者がARメガネに期待しているのは,パソコン仕事とスマホ仕事の両面で,老眼によって画面が見にくくなっていることを解消したい,というのが第一義である。正直言って,自分の頭の動きに100%追従して違和感がないことが条件であり,真の没入ができることが条件である。もしApple Vision Proがこれに応えてくれる製品だったら,40万円も惜しくないとも思ったりする。しかし,筆者の評価基準は厳しいのと,この製品については絶対に妥協したくないという思いがある。AR関係のレポートが気になるところである。

 もちろん丸1日装着していても違和感を感じないことも条件である。果たしてゴーグル型がいいのか,メガネ型がいいのか,それとも・・・という話は,また別に書いてみたいと思う。

 さて,1日中装着していて,装着していることをまったく意識しないほど没入感が欲しい用途として,クルマの運転時の使用をもう1つの利用分野として挙げたい。

 筆者のクルマ歴も50年近くになり,そろそろ免許返納も視野に入って来ているのだが,長年クルマに乗っていて一番問題だと思うのが,「死角」である。右ハンドル車であれば運転席側にあるAピラーがまず邪魔で,右折時に横断歩道を渡る人がいないかどうか,身を乗り出して見なければAピラーに隠れてしまう。

 もちろん,クルマの左前方はまったくの死角である。後ろから追い抜いてくるバイクが突然視界に入ってビックリすることも多いし,昨今は自転車の車道通行が原則となったため,自転車との距離も気にしなければならない。

 左前方の死角を無くす工夫として,左のドアミラー下部に前方に向けたカメラを取り付けて,左折時にナビ画面に表示する仕組みもあるが,実際は運転時にも情報が欲しい。

 右のAピラーの死角を無くす1つの試みとして,再帰反射シートをAピラーに貼り,そこにピラーに隠れる側の映像を映すという実験を見たことがある。もう30年以上も前のことである。いかにも画像が荒くて,何が映っているのか認識すらしづらかったが,考え方はすばらしいと思う。また,Aピラーを無くして前面ウインドウをもっとワイドにするコンセプトカーは毎回のようにモーターショーでも出てきたが,量産性や強度の面で問題があるのだろう,市場にはまったく登場していない。

 この解決策として,クルマでARゴーグルを使うことを提案したい。車載カメラは前面だけでなく,左右前方,左右後方,そして真後ろにも必要だが,これらの映像を完全合体し,ARゴーグルの実画像に完全に合わせて表示することで,死角を完全に消すことができると考えられる。

 同じコンセプトで,クルマの前面のボンネット全体を超大型ディスプレイにして,死角画面を表示することも考えたのだが,死角の情報が必要なのは運転者だけであり,ほかの搭乗者が見ても面白くなく,結局はエンタメの画面にしか使われなくなり,まったく意味がなくなること請け合いである。また,ボンネットに必要な安全装置やアクセサリーなどを置くこともできなくなり,移動空間としてのクルマの楽しさを削いでしまう。さらに,大型ディスプレイのコストもバカにならないから,実現は難しい。

 ARゴーグルなら,運転者だけが必要な情報を得られるし,外側にカメラを取り付けるだけで,クルマの設計変更はまったく必要ない。

 死角情報だけでなく,ナビ情報,電話,メール送受信などの機能を持たせることもでき,音声操作できれば実に快適だと思う。

 ただここでも,装着に違和感がなく,頭の動きに正確に遅れなく追従し,1日中付けられることが条件になる。実はこれが一番難しいところである。解像度を上げれば上げるほど,通信量が増え,遅れが出てくるからである。

 まず,Apple Pro Visionで実験してほしい(安全性はもちろん必要)。そうすると,ヘルメットを着けたバイクの運転時のように,左右の視界が広がって,実に快適な運転ができるのではないかと思うのである。