筆者の愛車セレナは、2000年モデルのワンボックスカーである。ハイルーフとスライドドアオート引き込み以外のオプションはない。ちなみにこの「オート引き込み」はオートスライドではなく、手動で閉めた最後の数センチをモーターで引き込む機能で、半ドアを防げる優れものである。
全体に角は丸みがある。当時、極端に丸みのあったのがエスティマで、これは始めからタマゴをイメージした設計なので、丸いのは当然である。
一方、最近のワンボックスカーのモデルは、やたらにカクカクしている印象がある。後ろから見ても、室内空間ができるだけ広くするのが目的なのか、真四角に見える。
そこで気になるのが,昨今の軽自動車である。幅,高さなど,規格サイズいっぱいまで広げれば,おのずと形は四角くなる。軽自動車の形がみんな同じになってきたのは,このサイズギリギリまで広げるという思想での設計の結果である。
セダンタイプからワンボックスタイプが主流となり,スライドドアの採用で乗り降りも楽になる。装備も充実してきた。
筆者のイメージは,軽自動車は価格の安いクルマである。現在,最も低価格の軽自動車は,セダンタイプで80万円からある。しかし,軽自動車の一般価格は150万円もする。かつての普通乗用車の価格である。ワンボックスカーは一般的に200万円超えだが,すでに250万円を超え,300万円クラスも普通にある。
軽自動車も,物理的な安全構造設計も充実してきているだけでなく,センサー類などの安全装備,エンジン音などが聞こえないような防音材も十分に使用されるようになった。これが価格増につながっているし,日本の標準車になれた理由だと思う。
同じようにワンボックスカーも,車内空間を広げ,快適性を向上させるために,普通車の規格いっぱいに広げることになり,結果として四角いクルマになってしまう。
形としては,軽自動車のワンボックスタイプも,普通車のワンボックスカーも,同じ格好になってきたのだと思う。つまり,ワンボックスカーが“大型の軽自動車”に見えてくるのだと思う。
なんだか,街中を走るクルマがみんな同じ形になってきて,面白くなくなってきたと思ってきている。ちょっとぐらい窮屈でも楽しいクルマがあってもいいんじゃないか。
そのためには,EVの拡大も悪くないと思う。EVは現在,走行距離を伸ばそうと電池容量を増やす傾向があり,したがって車重が重くなっている。タイヤへの負担,操縦性などが犠牲になっている。ならば,ボディーのプラスチック化で軽量化することも普通に行っていいと思う。さらに言えば,電動キックボードのような新しい規格を導入したのと同様,プラスチックEV車用の規格と,専用レーンを作るなど,インフラ側も変えるような政策を取ってもいいのではないか。
EVも無人運転車も,結局は規制のないアメリカや中国で先行を許してしまった。日本は,自分で自分の首を絞めてしまっている。2000年に入って,日本からは何の新技術も出ていない1つの理由ではないか。
たとえば北海道限定でもいい。新しい規格の運用地域を作って,理想的なモビリティーを実験してもいいのではないか。
最近登場したミニカー(EntreVIECLE【EV-eCo】 – entrecoco (entre-coco.com))は,筆者が期待している規格の1つである。1人乗りだが,軽量で速度は60km/h制限。これを2人乗りができるようにすれば,非常に面白いことになると思う。
方法としては,バッテリー交換方式をプラットフォームとすべきだろう(水素もカセットボンベ方式にすべき--安全性が担保できる方法として日本主導で - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/11/3)。常時6本を使用し,2本は予備として搭載。6本を使い切ったら,新しい2本のみを装着してバッテリーステーションまで移動し,6本を新しい充電バッテリーと取り替えてフル充電状態にする。こういう運用をすれば,バッテリーを効率よく充放電させられるし,バッテリー交換のみで長く使うことができる。規格バッテリーなので,リサイクルシステムを構築しやすい。
筆者のちょっと丸っこいワンボックスカーは,乗り潰すつもりですでに24年が経過した。乗れば乗るほど愛着が湧いてくる。形も使い方も本当に満足している。
ハイルーフ仕様で白いセレナに赤い大きなコンビネーションブレーキランプ。導入当初は,自虐的に“救急車”と筆者は自分で言っていたが,今でも自慢の1台である。5ナンバー車で初めての両側スライドドアという新しい設計を実現できたクルマである。ミニカーも含めて新しい日本のクルマを実現してほしいものである。