これはもはや待ったなしである。というのも,CO2の排出量をゼロにしても,気温のピークを迎えるのにあと10年はかかる。今の人類の活動において,CO2発生ゼロ生活は無理である。
何度も書いているが,太陽電池パネルも風力発電機も,その他の再生エネルギーや蓄電池施設は,そこから生み出すエネルギーよりも,設備を製造する時に使うエネルギーの方が多い。太陽電池パネルを作れば作るほど,エネルギーを余分に使うことになるとともに,そのパネルは10年しか寿命がなく,大量の廃棄物を生み出す。リサイクルのためのエネルギーも膨大になる。リチウムイオン電池も同様である。
作られたエネルギーをどんどん消費すれば,その分の温暖化は進む。CO2を固定する植物は,温暖化によって減るとともに,温暖化・乾燥化に伴う山火事で一気に消失し,20年は戻ってはこない。
一方で,太陽からの照射エネルギーは一定であり,また温暖化ガスによるブランケット効果によって地球に貯まる熱が増える。
ここまで考えると,1つは太陽からの照射エネルギーを遮る方法が考えられる。かつて,地球に巨大隕石が衝突し,大気圏に大量のホコリが舞い上がって太陽からのエネルギーを遮断したことで,大冷却時代が訪れたとされている。ホコリの量をコントロールできれば,いわば人工の日傘を差したことになり,温暖化を食い止めることができる。
ただし,太陽の光が遮られる分,植物は育たなくなり,二酸化炭素の吸収は進まず,さらに食糧としての植物が生育しなくなって,飢餓が広がるという危険性がある。この方法を採用はできない。
そこで筆者が考案したのが,「海水の直接冷却」である。現在,海水温度が上昇を続けている。これによってサンゴも海藻も成長しなくなり,サカナもカニも行き場を失って激減している。海水温の上昇によって空気中の水蒸気量が増え,また温度も上がることで,台風やハリケーンが巨大化する一方である。
さらに,北極海の氷が解け,グリーンランドの氷河が解け,南極の氷さえ解け始めている。海水温の上昇,気温の上昇が原因と考えられる。
ならば,海水温を直接下げることができれば,気温の上昇も抑えられ,氷や氷河の解氷も食い止められ,台風やハリケーンの巨大化も抑えることができると考えられる。
方法としては,浮体式の船を作り,その上に太陽電池パネルを並べて発電し,その電力で海水を冷却する。現在,中国が国内の至るところに設置している広大な太陽電池パネルは,そこから延々と送電線で都会に電力を送る間に1/3は失われてムダになっている。同じパネルを洋上の浮体式船舶で運用すれば,その場で電力を消費して冷水を作るので送電ロスも送電設備も不要である。冷やされた海水はどんどん沈んでいき,地球規模の大海流を再び正常に動かす力にもなる。
浮体式の船は,日本企業の得意分野である。高効率の冷却技術も持っている。これをメキシコ湾や太平洋のサンベルト地帯,北極や南極周辺で展開することで,海水温の上昇を食い止めることができれば,気温も自ずと下がってくるはずである。何しろ,水の方が比熱が大きいからである。そこで気温が抑えられれば,台風やハリケーンの巨大化もなくなるし,大量の水蒸気が連続して流れ込む線状降水帯もなくなる。ゲリラ豪雨もなくなる。
石油や天然ガスなどの化石燃料系から,水素系へのエネルギー変換はもちろん大事であり,早急に進める必要があるが,いま直接,気温を下げる方法にはつながっていない。水を撒いてもまさに焼け石に水である。ならば,石そのものの温度を下げる方法を考えなければならない。ぬるま湯ではなく,冷たい湧き水で冷却することで,環境が良くなる。
一方で,海洋深層水の低い温度と,水面近くの温かい水の温度の差を利用した海洋深層水発電の実験も進められているが,これは深層水の温度を結果として上げてしまうことになる。あくまでも地球表面の8割を覆う海の温度を積極的に下げない限り,来年は45℃などが日本でも平気になってくるのではないか。
もう1つは,人災に当たることなのだが,中国での降雨ロケットの打ち上げによる降水調整をただちに禁止させる必要がある。ロケットから撒かれる沃化銀によって,PM2.5の濃度が高まり,日本海を経て飽和状態になった水蒸気が,日本にぶつかったときに大雨,線状降水帯が発生する。ただちに止めさせるべき案件である。
どうせやるなら,パネルは中国,浮体船は日本と韓国,と共同作業をして,地球温暖化を必死で食い止めなければならない。体温を超えた日が常態化しているのはおかしい。これに適応できる人類だけが生き残るというシナリオも書けなくはない。再び,アフリカが進歩の出発点になる日が来るのかもしれない。
本気でぜひプロジェクトを組んで当たってもらいたい。