jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「パッケージ」って何?

COVID-19のワクチン接種またはPCR検査陰性を証明する仕組みを,日本では専門家分科会が「ワクチン・検査パッケージ」として提案してきた。これのお手本は,フランスの「健康パスポート」だろう。皆さん「ワクチン・パスポート」の意味を取り違えてます-ただしフランスの「健康パスポート」には反対論も【追記】 - jeyseni's diary 2021/6/17。「パス・サニテール(健康パスポート)」でいいかなと思うのだが,「パッケージ」とはどういう意味なのだろうか。

 パスポートが嫌なら,「免許証」,「許可証」でもいい。英語で言えば「ライセンス」である。あるいは「通行証」なら英語で言えば「パス」である。ほかにも,「身分証明書」(アイデンディフィケーション),「証明書」(サーティフィケーション)などの言葉がある。パッケージでは,なにを意味するものか,まったく伝わらないように思える。

 パッケージといえば「包装」「包装用の箱」「ひとまとめ」という意味がある。ワクチン接種証明とPCR検査証明を“ひとまとめ”にしたからパッケージ,という意味で使ったのだろうが,複数の機能を持つものがすべて“パッケージ”ではない。どちらかというと「セット」の方が一般的ではないだろうか。

 パスポートは,ポート,つまり港(空港)を通過(パス=pass)するための通行証である。人流を制限する,つまり通過を制限するのが本来の目的だから,「パスポート」でまったく問題がないはずなのだが,なぜかこの行動制限が差別に当たるという変な解釈があって,パスポートという言葉を使わないようにしているような気がする。

 逆に,この証明書を持っている人を優遇する方がおかしい。優遇を受けるチャンスを活かせる人と活かせない人で利益差が大きいからである。たとえば「マイレージ」。同じ仕事をしているのに,飛行機で移動する仕事をする人は毎日のようにマイレージが貯まるが,事務職の人は飛行機に乗る機会もなく,恩恵を受けられない。たまに乗ったとしても,そのマイレージを活かせることもなくポイントは消えてしまう。この方が不公平なシステムの気がする。つまり,“金持ち優遇システム”である。

 ワクチンを接種することで優遇を受けられるとすると,ワクチン接種することが「良いこと」であるという不公平感を生み出す。

 現在,ワクチン接種は公費で進められているが,定期的なPCR検査も無料で受けられるシステムであることが求められる。しかし,この無料PCR検査については,いまだに一言も言及されていない。海外ではすでにワクチン接種できない人やワクチン接種を拒否している人の3日ごとのPCR検査は無料で実施することで,健康パスポートを実現している。パッケージなどというネーミングで発表する前に,このシステムを確立する必要がある。当然,そのための予算も組まなければならない。

 菅首相は,ワクチン接種がCOVID-19に勝つ決め手になる,という強い信念を持っておられた。そこは称賛すべきところなのだが,供給のドタバタで点数を下げてしまったのは残念である。省庁間の縦割り行政によりシステムの設計も運用もバラバラである。ワクチンの予約もうまくいかず,その中でワクチンの無駄が出たり,3回めのワクチンを打ってしまったり,さらにその中でワクチン接種との因果関係が疑われる死亡案件が出てきたりして,潰れていってしまった。

 パスポートが気に入らないのなら「パス」でいいだろう。フランスの「パス・サニテール」も「健康パスポート」と訳したが,「健康パス」でもいい。とにかく変な言葉を作らないでほしいものである。