「ワクチンパスポート」7月中旬にも書面で発行へ(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース 2021/6/17。加藤官房長官が発表したものだが,世界で進められている『ワクチン・パスポート』とは2つの点で意味が違うことを,誰も指摘しないので,指摘させていただく。
①海外渡航者を対象として発行→間違い。単に“パスポート”という言葉に踊らされているだけ。
海外では,ワクチン接種した人全員が所持して,イベント参加や外出,公共交通機関への乗車,マスク非着用許可などに使われる。「海外渡航するビジネスマン向けに発行する」などというのは,まことに狭い範囲の利用シーンで,単に海外に対するポーズである。2021/7/1にEUで発行が予定されているワクチン接種済み証「EU Digital COVID Certificate」も,EU域内での自由な行動を保証するためのもので,海外へ行くためのパスポートではない。
②ワクチン接種を証明→間違い。ワクチン接種または72時間PCR検査済みを証明しなければ意味がない。
「ワクチン・パスポートの発行で入場制限をすると,ワクチンを接種していない人が不利益になるから,割引程度の特典にした方がいい」といった議論があるが,それは「ワクチン接種と72時間PCR検査」が「国や自治体の対策」としての「セットになっていない」からである。
「海外への渡航の際に必要な人に対して紙で交付」という発言そのものが,そもそもの目的を履き違えているし,記者会見の記者も,ワイドショーの政治評論家も,だれも指摘しない。
ここのところ,ワクチン接種関連の話題ばかりで,PCR検査体制について何の改善も行われていない。海外では,72時間ごとのPCR検査を無償で提供することで,ワクチン接種を拒否ないし接種できない人の非感染証明を制度として確立している。この「ワクチン接種と72時間PCR検査」を証明するのが,正しい「ワクチン・パスポート」の意味である。これなら,ワクチン非接種者が差別されることもないし,感染拡大を確実に防ぐことができる。「野放し」になるワクチン未接種者。日本は絶望的な結果になると予測 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/6/7。
何度も言うが,ワクチン接種が終わるのが9月末だとしても,それまでに感染を抑えることはできないだろうし,海外各国のようにマスクなしの日常に戻すこともできないだろう。もっと安くできる抗原検査でもいい。とにかく,無料の抗原検査を提供し,証明書を発行すべきだろう ガムのような抗原検査キットがほしい - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/30。
【追記】フランスでは,「パス・サニテール(健康パスポート)」というワクチン・パスポートの発行がマクロン大統領によって発表された。関連ブログを引用させていただく 【フランス】パス・サニテールとはなにか〜コロナ禍の健康パスポートについて考える〜 │ パリパリマセマセ 2021/7/12更新。まさに上記の内容を実現するパスポートなのだが,フランス国内でも反対運動が起きているようだ。電子化することによるメリットもあるが,スマホを持たなければならない,という経済格差の問題があることと,行動記録などのプライバシーにつながる可能性も指摘されている。
高知県には「高知家健康パスポート」というポイント付加アプリがあるようで,こちらは楽しみながら健康増進を図るという目的であり,所持の義務づけをするものではない。
あらゆる場所でパスポートを提示しなければ動けないというのも,たしかに窮屈だが,何かこの辺りの折り合いのいい仕組みを考える必要がありそうだ。以下はこれまで筆者が提案してきた2つのシステムだが,これも同じように社会的には受け入れられないのかもしれない。「外出免許証」発行の提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/6/6, 自己申告型-新型コロナカラーチャートの提案 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/3/17。【追記終】