大雨が世界各地で日常のようになっている。豪雨、線状降水帯という言葉も頻繁に聞かれる。
土砂崩れは一瞬なので、あらかじめ逃げなければ死につながる。河川の氾濫や堤防の決壊も一瞬である。氾濫中は、助ける手段もない。被害者に接近する方法もない。
しかし、氾濫が収まっても、水がすぐに引く訳ではない。特に堤防決壊の場合は、川底より低地にある住宅街に何日も溜まり続ける。被害者の救出に自衛隊の手押しのボートというのが、いかにも非力な印象を受ける。
水の深さも場所によって違う。ボートの場合、救出搬送中に船底をこする。こともあるだろう。水がまだ膝ぐらいある場所までしか行けず、最後はまた水の中を歩かせることになる。被害者の立場からすると、助けてもらって確かにありがたいが、最後に服や靴が水に浸かる。なんとも悲しい。
ここに、水陸両用車を投入してはどうか。水深が深いところは船として、そして浅いところはタイヤで進むことができる。避難所前は水が引いているだろうから、そこまで運べば乾いた道を歩いて避難所に入れる。
もちろん、観光用に開発されたような大型で高速なクルマは必要ない。あまり高速だと波を立てすぎて、被害が大きくなることもある。小型トラックぐらいでいい。
海上自衛隊が持つ水陸両用車AAV7は,軍事作戦には適しているが,残念ながら災害救助にはまったく向かないらしい。スクリュー方式のため,瓦礫の中を航行できないのが最大の欠点という。
こんな大袈裟なのではなく,ボートに4輪を付けたぐらいのイメージでいいのである。正直,これからこの手の救助用水陸両用車は,世界各地で求められるようになる。災害に強い住宅とともに,一家に1台,水陸両用車,なんて時代が来るかもしれないのだ。