jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

専制主義から民主主義に転換した唯一の国が「日本」--これが今アピールできないのが日本の弱みである【追記】

民主主義と専制主義のせめぎ合いと,その解決に向けての推論をしてみた 21世紀の人類存亡の危機--AIはどういう答えが出せるだろうか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/4/19。この中で,戦後日本の平和主義についても触れている。

 その後,少し考えていたが,日本というのは世界に誇れる「大思想変換」を成し遂げた国である,ということをまとめてみたい。ここに問題解決の糸口があるような気がするからである。

 江戸時代,徳川政府は海外との基本的な交流を鎖国という形で実現した。江戸幕府という専制主義ではあったが,海外侵攻するわけでもなく,海外からの攻撃を受けるわけでもなく,階級社会ではあったが一種のユートピアを実現できていた。

 明治時代になって鎖国をやめ,海外との交流を進め,多くの先進的な文化や技術を積極的に取り入れ,豊かになって行ったが,武家社会に代わってもともとの専制主義である天皇制が日本を一種の侵略国に拡大して行った。中国やロシアに対しての戦争で領地を広げ,さらに大正時代には第一次世界大戦では世界に向けて宣戦布告した。

 昭和時代も,前半はまだまだ天皇立国であった。国民は天皇を崇拝し,天皇の言う事を無条件に受け入れていた。昭和天皇が戦争に対して懸念を示しつつも,軍部の圧力に押し切られて第二次世界大戦で世界に宣戦布告したことに,国民は同調して戦地に赴き,結果としては相手国に多大なる物的人的被害を与えた。

 明治,大正,昭和前半の日本を見ると,正直言って現在のプーチン集団によるウクライナ侵攻を批判できるのか,という思いがする。事実,真珠湾攻撃では飛び道具による奇襲攻撃をかけ,南方戦線では住民を含めた大量殺戮をしてきた。これは今でいうジェノサイド(大量虐殺)ではないのか。

 この戦争責任については,韓国,中国,東南アジア諸国からいまだに批判されている。昭和天皇も,その次の平成天皇も,謝罪のための海外訪問をしているが,いまだに許されていない。当時の日本が専制主義であり,自国の利益のために世界各国に被害を及ぼしたことは,事実だからである。

 日本は戦後,経済大国へ舵を切った。戦後10年で生まれた筆者にとって,日本は経済成長の真っ只中にあった。平和であり,徴兵制もなく,モノづくりに目覚めた日本での生活水準がどんどん上がり,教育も機会均等,男女も平等,犯罪は世界一少ない,と,いいことずくめの国を作り上げて来たように感じていた。モノづくりで日本や世界に貢献したい,という思いから工学系の道を選び,マスコミという情報系で国造りをサポートするという道を進んだ。社会人になって20年間は,何の疑問も感じなかった。世界も,ソビエト連邦の崩壊によって冷戦が終結し,核兵器のない世の中になることが期待された。そこに日本が最大限の貢献ができると信じていた。

 しかし,残念なことに世の中から専制主義はなくならなかった。いやむしろ増加傾向にあることは,上記のブログの中でも紹介した。それぞれの国が,自国の繁栄を目指して突き進もうとすれば,専制主義で国民一丸となって相手のことに構わず突き進むのが最も手っ取り早い。実際,これは明治から第二次世界大戦終戦までの日本の姿と変わらない。日本が他国を批判できる立場にはない。

 それでも,日本のすごいところは,専制主義の天皇制を「象徴主義天皇制」に大変革できたことである。昭和天皇は,終戦までは「朕(ちん)」つまり国家元首であり,軍部にサポートされていたとはいえ,専制君主だった。戦後,日本国憲法が発布され,「人間天皇」に変わった。結果的に大戦を起こしたのは昭和天皇であり,国民は天皇の命令の下で戦争に突入したが,同じ天皇終戦宣言によって戦争を終えた。

 おそらく,昭和天皇自身が最も精神的な苦痛を持たれたことと思われる。自分自身の本心ではない一言で戦争が始まり,国民も相手国の国民も犠牲となり,多大な経済的被害が起きたことに悩まれたことと思われる。戦後,戦争の痛手から立ち直り,華々しい経済発展を遂げる日本をほっとした思いでご覧になったのではないか。象徴天皇になられてからの顔つきは,明らかに柔和になられた。それでも話され方はなかなか硬いままだった。

 そして昭和天皇の戦争への懺悔の気持ちが,子供である平成天皇(現在の明仁上皇)の戦地訪問の仕事に引き継がれた。それでも,海外から見れば,日本はEmperorの国であり,天皇専制国ではないか,という見方もできなくはないのである。

 それほど,日本がかつての専制主義から民主主義に一気に転換できたことは,世界から見ればほとんどありえない奇跡のように見えるのではないだろうか。先のブログで,これまでのさまざまな国同士の関係をAIにぶち込み,今後人類が通るべきベストな道の答えを出したとき,恐ろしい方法が提案されるのではないか,と書いたが,それは「専制主義はなくならない」あるいは「専制主義が有利である」といった結論なのではないかと思えるからである。

 人類が得た「話し合い」「議論」という調整法は,双方が相手の立場を尊重し,意見を聞き,歩み寄れる,ということが前提にある。最初からケンカ腰で,自分が上だと信じ,相手の意見を聞く耳も対話に参加する意志もなければ,それは議論にはならない。どちらが先に手を出すか,手を出させてから徹底的に叩く。これが戦争という人類が生み出したもう1つの調整法である(調整にはなっていないが)。

 昭和天皇は,戦争で自国民が多く亡くなっていくことにおそらくまず気づき,心を痛めたと思う。そして相手の国民も多く亡くなっていることにも気づかれ,戦争をやめることを決意され,最終的にその結論が半月遅くなったために,広島と長崎に原子力爆弾を落とされて本土での戦争被害を多く出したことで敗戦を受け入れたのだと思われる。専制君主でありながら,国民のことを考えていたと信じたい。その思いが,自らを君主(神)からただの人間に降格することを受け入れる決断をされたのだと信じたい。

 今のプーチン大統領や,先のトランプ元アメリカ大統領,中国の習近平国家主席,そして北朝鮮キム・ジョンウン最高指導者は,本当に国民のことを考えているのだろうか。権力を欲しいままにし,私腹を肥やしたいだけなのではないのか。

 かつて,専制主義から民主主義を手に入れた国は,戦争という大きな代償の末に専制君主の抹殺という形でしか主義転換ができていない。戦争のきっかけは,最後は民族の違いを越えられないことにある。言葉の違い,そして宗教の違いも大きな原因の1つである。日本は,八百万(やおよろず)の神の国として,あらゆる宗教を受け入れてきたが,仏教,キリスト教イスラム教,ヒンディー教など,他宗教との共存を否定する宗教の国は,相手を殲滅することしか頭にない。この宗教思想を転換することも,人類にとっては至難の技である。

 プーチン大統領およびプーチン集団によるウクライナ侵攻を止めるには,プーチンの考え方を転換させるために,国民が大きな運動を起こすことが,もっとも平和的な解決手段である。しかし,おそらくこれまでも,政府に対して異を唱えれば拘束される,という恐怖政治が行われており,現在も実際に戦争反対運動に対する権力からの拘束が行われていて,身動きが取れない状況かもしれない。戦時中の日本の憲兵と同じである。

 さもなければ,かつての多くの戦争や紛争をとりあえず中断させてきた方法として,リーダーであるプーチンを抹殺するしか,方法がない。しかし,かつてアルカイダのリーダーであるオサマ・ビン・ラディンを抹殺するのに手間取ったように,プーチン大統領も現在の居場所はほとんどわからないし,直接手を下す方法は限られている。

 現在のウクライナ紛争に対して,政治的交渉,経済的制裁以外の方法とすると,物理的な戦争しかないように見える。いずれも,時間が経てば経つほど,ウクライナ側もロシア側も人的,物的被害は拡大し,国家は疲弊する。

 あとは,人道主義から見た宗教的アプローチで,おそらくプーチン大統領も信じていると思われるロシア正教からの人道的説得に期待することが1つであり,もう1つは,かつての専制君主であった日本の天皇が今の民主主義に向けて歩んだ道筋を説くことで,国家の発展が専制主義や軍事力だけが方法ではないことを,説得できないかと思うのである。

 ただ残念なことに,現在の天皇が政治的な判断を一切されないことで,日本自身も迷走していることを認識されていない。それは,新型コロナウイルス禍の第5波の拡大基調の際に東京オリンピック2020の延期ないし中止について一切の判断をされなかったことで明らかになった。どんなに国民が苦しんでいても,何の決断もされないのだな,と思ってしまったものである。同じことをローマ法王の一言にも期待したが,実現はしなかった。

 もっとも,戦後の民主主義への転換で華々しい躍進を遂げた日本が,いまや世界の中でまったく精彩を欠く存在になっているので,説得力はまったくない。技術力も国民の勤勉さも,経済発展に尽くした理由だが,結局は政治的な作戦で失敗し,世界のリーダーになりきれなかった。

 まず,タイトルに挙げたように「専制主義から民主主義に転換した唯一の国が日本」であることを改めてアピールし,国連の常任理事国のポジションを得るべきだろう。そして,地球温暖化に対するエネルギー分野および食糧分野において,画期的な提案(水素燃焼発電と農・水産工場)をすべきだろう。COVID-19に対して何もできなかったが,エネルギー,食糧問題では日本がやります,と宣言すべきだろう。「われわれは,主義の転換に成功した唯一の国である」と,堂々と胸を張って世界に発言すべきだろう。これを言えるのが,次の日本のリーダーであると考える。それは誰だろう。いるのかな。どれも器が小さすぎるのではないか。逆に,すでに手段を手に入れている産業界から,名乗りを上げるべきではないのか。そうするとT社長しかいないのだろうか。

【追記】ローマ教皇がプーチン氏に激怒した 「キリストの代理人」、キーウ訪問の可能性は? (msn.com) 2022/4/19。現実に動いてほしいところである。できればモスクワに向かっていただきたい。