新型コロナウイルスの緊急事態宣言が39の県で解除された2日後の2020年5月17日(日)に,まだ解除されていない東京の渋谷を歩く機会があった。解除されていないにも関わらず,人の往来は前週の4割増しという感覚。そしてマスク着用率が80%ほどに下がったのを感じた。明らかに気持ちの緩みが見られると思われた。言葉の使い方は難しいと改めて思う。
マスクなしで大声で談笑する若者やカップル,すれ違いのときも一向に道を譲らない男性。これまで,ひょっとしたら自分が感染していて無症状で,他の人に感染させてしまうかもしれない,という思いでマスクを着けてきたが,やはり自分が飛沫を受けるのを防ぎ,できればウイルスの侵入を遮断する確率を少しでも上げるために,少なくともPM2.5対策マスクを外歩きの時は着用することにした。いまだに医療用のN95マスクは,医療現場には潤沢に届いていない状況では,仕方がない。
さて,人との付き合い方が新しくなるだろうと,いろいろな人が言うようになった。海外で普通におこなわれている握手やハグ,キスがなくなり,日本式のお辞儀が当たり前になる,などという話も出てきた。抗体,ワクチン,特効薬の開発までのあと1年をすぎればある程度元に戻るとは思うが,普通のコミュニケーションを取れる方法がほかにないのかどうか,いろいろと考えている。
①マスクのファッション化。効果的に飛沫拡散を防ぐ方法は,とりあえずマスクを置いてないというのが,結論。ならば楽しく着けたい,という気持ちである。
②フェイスシールドのファッション化。自転車に乗る時用に,雨除けのフェイスシールドがいろいろと販売されている。女性用の優しい丸みを帯びた製品もある。男性用にキャップに着けて使う結構格好いいフェイスシールドもある。問題は使用時間ではないかと思われる。自転車に乗るほんの数十分ならガマンできるが,これを常時着用できるものだろうか。次の開発テーマだろう。
③エアカーテン。たとえば,キャップのヒサシから顔の前に空気を帯状に下向きに吹き出せば,相手の飛沫が直接当たらずに下に吹き飛ばされ,また自分の飛沫も相手に直接届くことはない,という考えである。通常の会話なら,至近距離でもかなり効果はあると思う。しかし,くしゃみという新幹線並みのスピードの飛沫の拡散を抑えられるエアカーテンはおそらく存在しない。また,普段の飛沫を拡散させないためにもある程度の風量を必要とするため,この空気を供給するためのモーターなどの仕組みが大げさになり,音も大きくなることが予想される。また,夏場は顔を涼しくする効果も期待できるが,常時風が顔に当たるような状況は,あまり好ましいとも思えない。
④エア吸引。いわば焼き肉店のコンロの周りのようなものである。吹き出した飛沫をこの吸引する空気の流れによって飛散させないようにする。喫煙ボックスの中の空気吸引器と考えてもいい。
飲食店では,この④を採用する店が増えるのではないかと思う。テーブルの端から吸い込むようにすれば,お客様にもあまり目立たない。ついたてを置いたり,ビニールで仕切る,といった方法よりも,お客様にとっては気兼ねなく利用できる。たぶん,机の端の全長で吸い込むようにすれば,吸い込み音はそれほど大きくないのではないだろうか。オフィス机メーカー,学校机メーカーは至急制作販売を始めるといい。飲食店向けには,まず外付け方式から入るのがいいと思われる。
遊興店でもこの方法は使える。設計をきちんとして静音化できれば,映画館や劇場でも使える。電車では座席を一人ひとり区切る必要はあるが,その仕切りの端から吸引すれば左右への拡散は防げる。もちろん,学校や図書館などでもOKである。最も経営的に打撃を被っている業界への救世主となるのではないだろうか。
換気が難しい部屋には,高性能のHEPAフィルタを搭載したエアコンの導入で解決を図る。隣の人からの感染は防げないが,飛沫やウイルスが空中を漂う密度を下げて,感染のリスクを下げる。いい加減な○○クラスターだのナノ○○など,細菌やカビにしか効かない機能ではなく,はっきりと有害物を除去できる製品を出すべきだろう。短時間使用なら,オゾン放出機能も併用するといいだろう。この辺りの機能は,エアコンの標準になるべきだろう。ならば,旅館やホテルでも安心して泊まることができる。
こうした吸引式の機器が普及するまでの一時しのぎの対策として,2019年の夏に流行った小型扇風機の利用を提案したい。通常は,自分の顔や身体に向けて風を送ることで涼を得るための小型扇風機だが,話をする際にこれを自分の顔の前に置いて上向きに風を送るのである。これにより,自分の口からの飛沫が相手に直接かかることはなくなる。相手の口からの飛沫も同様に上に向かって飛んでいく。本当なら,上から下に向けて風を送り,机の手前に床に向けて風を送るのが理想だが,この向きはなかなか難しい。また他の人に向けてはならないのも礼儀として必要である。一種のエアカーテンを作る要領である。これに換気や高性能エアコンとの組み合わせで,万が一の感染飛沫の拡散を防ぐのである。夏場の対策としては使えるのではないだろうか。
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