国が認定した医療用の抗原検査キットが,通販で購入できるようになると決定された(2022/8/17)。今月中(8月中)に購入できるようになるらしい。
これまでは,2021/11/1から指定の薬局で購入できた。ただし,自覚症状がないこと,濃厚接触者でないこと,そして薬剤師の説明を受けることなどが条件だった。移動制限が出ており,出張などで移動する必要がある人が利用していた。
しかし,症状がない段階で抗原検査で陽性判定されることはない。仮に感染していても陽性判定されないので,本来なら移動していいという判断はできないはずである。PCR検査を受けて陰性判定される必要がある。駅前など数か所で民間のPCR検査を受けることはできるが,判定まで丸1日と時間がかかること,費用が1万円以上と高いことなどがネックになってきた。
今回,医療用の抗原検査キットを通販で購入できるようになる。購入前に薬剤師の説明が必要とされているが,これはどのような仕組みで行われるのか不明である。また症状があってもなくても購入できるのだと思うが,今回はどちらかといえば「症状がある人」向けである。症状があれば,抗原検査キットで陽性判定が出ると感染している可能性を判定できる。
症状があって発熱外来に行けば,PCR検査でほぼ陽性反応が出,感染と判定される。発熱外来での受診なので,保健所への登録,解熱剤の処方,My Her-Sysの登録指導,そして1週間の自宅待機と保健所からのフォローアップの開始,血中酸素飽和度計の手配,非常食料の手配など,一連の手続きが進められる。医療機関の負担となっているHer-Sysへの感染者登録入力も行われる。
しかし,発熱外来が申し込み逼迫していることから,症状がある人が抗原検査キットを通販で購入する方法を解禁した。ところが発熱外来での感染判定と異なり,キットでの感染判定では医療機関との連携や保健所への連携,感染者登録システムのHer-Sysへの入力は行われず,おそらく自宅療養指示と解熱剤の処方までは行われるが,保健所との連携もサポートもなく,Her-Sysへの入力も行われない。
多くの人は症状が数日で改善され治っていく。結局どこにも登録されずに治ったというだけで終わってしまうのだろう。しかしもし,その後で後遺症が出た場合はどうなるのだろうか。新型コロナウイルス感染による後遺症であるという証明ができるのだろうか。
症状が出たとき,これまでは発熱外来に行くしかなかった。薬局で抗原検査キットを入手することもできなかった。発熱外来も受付人数が限られていたりでたらい回しにあった。受け付けられても,そのあとはまったく事務的に検査の予約や検査が進められた。自分の症状が新型コロナなのか,周囲の人への感染拡大はさせていないか,学校や会社はどうする,など不安を抱えているが,保健所からのフォローがあったことで,きちんと登録されていることを自覚できた。
しかし,今回の抗原検査キットでの判定は,その後のフォローがなくなることを意味するのではないか。国民はまた見放されたことになるのではないか。