筆者の若いころも今も変わらないが、背の高い男性は基本的にモテた。その後、男性も小顔になり、背が高いと相対的に身体とのバランスが良くなる。今のアイドルも格好いいし、街中で見かける若者もみんなスタイルがいい。うらやましい限りである。
身体が大きいことは、基本的に運動能力も優れていることになる。確かに走競技では結構小柄な人も活躍しているが、最後の瞬間の手の伸ばし方、頭の倒し方によって先にの順位になる確率が高くなる。水泳でもタッチの差に響くかもしれない。
ということで、大きな男性には力仕事をしてもらいたいという提案である。具体的に言えば、災害救助であり、有事の動員である。
世界的に食糧危機も迫っている。デカイ人が自分に必要な食事を普通に取ってもらっては、一般人に食糧が回らない。したがって、自衛隊ないし軍隊でしっかり食べてもらい、有事に活躍してもらうという話である。なにしろ、消費カロリーも半端ではないので、国民の税金で養ってあげるということである。
有事には、身体の大きいことが相手に対しての圧力になり、有利な展開が期待される。
政治の世界は,常に有事である。有事だからこそ,いかに相手にアピールするかが求められる。実際,世界を動かしている政治家リーダーは,基本的にガッシリした体つきである。もちろん,体つきだけでなく,話術,しかも英語での会話力は当然のように求められる。
日本人が舐められる1つの理由は,体つきが小柄だからである。しかし,安倍晋三にしても田中角栄にしても,やはり世界と闘ってきた政治家は,躯体がガッシリしている。それも政治家としての資質なのだと思う。
あと残念なのは,メガネの着用である。岸田文雄にしても河野太郎にしても,常にメガネを着用している。これが,いわば「フィルター」,いわゆる色メガネと相手に捉えられてしまっている可能性を否定できない。
戦後日本の経済成長を象徴するのが,背広姿のモーレツビジネスマンのイラストであり,ここには小柄で痩せ型で黒縁メガネをかけてチョコチョコと走り回る日本人男性が描かれている。「フジヤマ・ゲイシャ・ニンジャ」以外に,日本人のイメージは,この「黒縁メガネのビジネスマン」が定着している。これを表舞台で使ってしまうことに,現在の日本の政治の弱さがある1つの理由ではないかとも思えるのである。
戦後日本が世界に伍して使ってこれたカードは「技術」と「マネー」だった。2000年を過ぎて,経済の破綻とともに日本の科学技術が停滞し,技術のカードを切ることができなくなった。一方,技術による経済発展で使うことができた「マネー」カードも,いまや微々たるものになっている。「世界で唯一の原爆被爆国」というカードで平和を訴えてきたが,東京電力福島第一原子力発電所のメルトダウン事故と,それに伴う汚染処理水の放出という「ババカード」によって帳消しになり,説得力がなくなってしまった。
技術もなく,マネーもなく,プレゼンテーション力もない日本は,自国を守るために相手の攻撃能力をなくす能力を仮に持ったとしても,それを使うだけの人材がいない。高い兵器,高い戦闘機,高いレーダー迎撃システムを買っても,おそらくほとんど役に立たないだろう。時代はすでに,サイバー攻撃と,低コストの自爆型ドローン攻撃に移っている。さらに,何万機の集団ドローンによるいわば「無人上陸作戦」が決行されれば,これを迎え撃つ手段を持たない。
カーリング女子の藤澤五月さんが,ボディビルで筋肉改造したニュースには衝撃を受けた。世界も衝撃を受けたのではないだろうか。水泳で活躍した萩野公介さんや瀬戸大也さんの体つきも,日本人離れしている。野球の大谷翔平さん,バスケットの八村塁さんなども,やはり立派な躯体でアピールしている。「日本人でもアピールするんだ」と思ったものである。
相手は「進撃の巨人」である。ただ指をくわえていては結局はウォールを狭められてしまうだけになる。技術,知恵,マネー,それがなければ,やはり基礎体力としての人間づくりから進めなければならない。姑息に子育て手当てなどを作り,一方でサラリーマン増税を打ち出し,疲弊の一途をたどる日本で,日本を守ろう,という意識のある若い世代がどれほどいるのだろうか,と心配になっている。
たとえば「スポーツマン強化策」と称して,予算を大幅につぎ込んで,躯体の大きい人を積極的に訓練し,いざというときには先頭に立って戦ってもらう,といった,“異次元”の人材育成策を打ち出さない限り,日本を守る人材はなくなるのではないかと心配している。