2020年は、地球も世界も言わば分岐点で乗り誤った年だったように思える。何だか、ここのところ、無為感に囚われている。いやな発想ばかり浮かぶ。
地球温暖化が言われて20年経った。人類は相変わらず化石燃料を燃やしてエネルギーを取り出し、二酸化炭素を放出し続けている。ウクライナ危機で天然ガスを止められて、環境先進国と言われたドイツでさえ化石燃料に多くを頼っていることが明らかになった。他国は言わずもがなである。
新型コロナウイルス禍で物流が停滞すると、世界中でクルマが作れなくなった。中国での部品生産、台湾での半導体生産などが止まったからである。
モノづくりの副産物としての公害は、日本では狭い国土で問題になったが、中国や東南アジアでは垂れ流しのままのようである。せっかくの高度な公害防止技術を持つ日本は、その技術を生かす製造拠点を持たなくなった。意識の低い国による低コスト競争に負けてしまった。これが世界の常識である。
戦後の日本の高度成長が技術力によるものであり、いいものを安く手にできて世界中の人が恩恵を受けることで、世界中が豊かに、平和に、幸福になる、というのが、平和主義日本のリードすべきシナリオだった。しかし、国民を搾取してでも、世界の工場にのし上がり、モノづくりの根幹を握った。
新技術、新概念はアメリカの得意分野で、これに財閥マネーが資金提供して事業が成立するのがこれまでのパターンだったが、少なくとも資金面では中国マネーの勢いが強大で、人的な戦術も含めて事業化のスピードは圧倒的に中国が速い。エネルギー関連、軍事関連も速い。
ロシアはウクライナに戦争を仕掛けたことで、人的にも金銭的にもかなりの負担を強いられている。国力への影響も少なからずあるだろう。一方、中国は漁夫の利で力を温存している。アメリカも、共和党のトランプ氏の率いる勢力がまた盛り上がっており、バイデン氏に入れ替わる可能性も出てきた。その時は、ひょっとすると中国と手を組むのではないかという可能性を否定できない。
経済、技術、人力、資源、エネルギーなど、あらゆる点で中国が最も強大である。おそらく,あまりの危機感か,アメリカのバイデン大統領は,半導体の国産化を促進する法律に署名した アメリカ 半導体生産開発に7兆円以上投資 国産化促進法が成立 | NHK | 米 バイデン大統領 2022/8/10。日本は熊本県に台湾TSMCの工場誘致を決めたが,単に日本政府の資金を使って有利に工場運用をするだけで,雇用も産まないし,最先端工場ではないので,日本が使える半導体を優先的に受け取れるという保証はまったくないというていたらくである。
日本の戦後の高度成長期は,いわば人海戦術でモノを作り,必死になって豊かになろうとした。しかしいったん豊かさを手にしてしまうと,3Kな仕事を嫌うようになった。これの解決策の1つは自動化であり,ロボット化である。もう1つはドライな産業へのシフトで,ゲームやアニメなどのカルチャーに逃げた。しかし,コンピュータ系やインターネット系のプラットフォームには手を出せなかった。
半導体事業は,自動化技術が必要であり,人が働く職場としてはけっこう過酷である。一日中防塵服を着用し,クリーンルームの入退室の管理も厳しい。今の日本人で,こういう環境で働きたいと思う人はいないのではないか。
第二次世界大戦の敗戦で日本が宣言した「平和宣言」のために,日本人は戦う力を自ら放棄したのだが,同時に「平和=楽な仕事」と考えるようになったのではないか。モノづくりの油まみれ,騒音まみれ,危険作業を目指す若者はほとんどいない。大学の工学部系も工業学校でも,ソフトのプログラム系,弱電(デジタル)系が中心。機械系も,メカニック志望はいるものの切削・鍛造・鋳造などの加工技術や,素材産業に向かう人はほとんどいない。重電(アナログ,高電圧)系もいない。ましてや原子力関連を目指す人はほとんどいないだろう。「国産半導体を作れ」と檄を飛ばしても,箱はできてもそこに入れる機械も人もいない。また現在のシステムで必要とされている最新技術からもう20年遠ざかっているため,一気に最新半導体を作ることは絶対にできない。
アメリカの場合は,まず軍隊があるので若者には志願制ではあるものの一定期間の兵役がある。ここで軍隊に必要な統率力や危機管理などの基本的な知識や体験をする。戦いという環境を想定した訓練により,モノづくり程度の環境も抵抗がない。現場であっても,研究職場のような地道な環境であっても,働く意欲のある若者は多い。しかし,日本にはそういう若者はほとんどいなくなっている。もちろん,戦争に向けての訓練も受けないので,有事の想定もできないし,有事になった場合も誰も対応できない。
筆者もモノづくり系の勉強をしたにも関わらず,モノづくりの環境を回避した人生を送ってしまった者として,若干後ろめたい気持ちがないわけではない。モノづくり日本の応援団として,情報提供の手伝いをしてきたつもりだったが,結局そのモノづくり産業が衰退してしまい,応援団活動もできなくなってしまった。海外に売れるモノがなくなり,赤字がどんどん膨らみ,将来の日本を憂慮している。
ロボット防衛隊の構築が必要--日本人はいざと言うとき迎撃ミサイルの発射スイッチを押せないから - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/7/17 でも書いたが,日本は日本人自身がモノづくり環境にも軍事環境にも対応できないと思う。したがって,防衛システムを全自動化するしかないと思う。迎撃用の兵器は,防衛予算の大幅な増加をしてアメリカから調達し,これを扱うロボットの開発を至急進める必要がある。敵がどこであろうと,ミサイルを打ち込まれたらまさにウクライナ状態になる。ウクライナは国民が立ち上がって反撃しているが,日本は国民が立ち上がらず,おそらく逃げ出すだけだろうから,迎撃体制,あるいは敵攻撃力破壊体制を全自動化するしかないと思う。アメリカが守ってくれるだろうという神話から早く目を覚まさなければならないのではないだろうか。
人的にも資源,エネルギーなどを見ても,中国が最も有利な立場にある。アメリカも分断している。ロシアは誤った判断でウクライナ侵攻を始めてしまったために人的被害を拡大させてしまった。もう少しいい方法があったのかもしれない。中国は今,このロシアの前例を分析し,世界戦略の練り直しをしていることと思われる。
近代,かつて世界征服を仕掛けたのは大英帝国(イギリス)である。また,フランスはアフリカを中心に勢力拡大を図った。世界中の多くの国で,英語とフランス語が話されているのは,いわば侵略の結果である。
日本もかつて,中国,ロシアに勝利し(日清戦争,日露戦争),さらに韓国や南太平洋にも勢力を伸ばそうとして。占領地域で日本語が残っているのがその証拠である。第二次世界大戦後の冷戦時代にアメリカとソ連が一気に軍事拡大し,そして核弾頭も数千発ずつ保有している。その二者争いの間隙をぬって中国が台頭してしまった。核弾頭はまだ少ないものの,通常兵器,兵士要員などの拡大ぶりは無視できない。
今回の台湾周辺での軍事演習で,首都台北上空を越えてミサイル発射をしたことは,明らかに台湾を占領するという意志であり,その能力を持つことを誇示したことである。周辺地域での中米の軍事力の差も中国優位になっている。アメリカはもはや手を出せない状態にある。ならば,日本を守るという日米安保条約も,形ばかりのものとなり,日本も攻撃の対象になることは明らかである。
文化面から言えば,おそらく1バイト系のラテン語系国家(英語,フランス語,ドイツ語など)にとって2バイト系の漢字語系国家(日本,中国,インド,韓国)は,想定外の民族であり,手を出したくない存在なのではないだろうか。得体のしれない民族に見えるのではないだろうか。第二次世界大戦時の日本の戦略を不気味に思い,天皇への忠誠心や玉砕も辞さない国民性,そして本土決戦で竹ヤリでも戦うといった姿勢に恐怖を感じ,結果として遠方(上空)から原子爆弾を落として終結交渉の場に引きずり出したという形ではないか。そのまま占領して日本という国をなくすこともできたはずが,天皇制や日本語をなきものにすることになんとなく不気味さを覚えて残したのではないか。
同じように,アメリカが中国に対しても強く出にくいのは,習近平がどのような戦いを仕掛けてくるか予測がつかないからではないか。そのあまりの国家規模により,中国語をやめさせて英語に矯正するなどとてもできないという思いもあるのではないか。
最終的には,アメリカと中国で均衡を作り,エネルギーで力のあるロシアがそれに加わり,この3国がどのようにエネルギーや資源を分かち合って世界・地球をいい方向に向かわせるような場ができないかぎり,地球温暖化によって人類は滅びる道を進まざるをえなくなると思われる。
バイデン大統領は,習近平を嫌っており,交渉力はない。トランプ前大統領は完全にケンカをしたが,自分の利益が得られる道を交渉する力を持っている。かつてのアメリカの中では実に異色であるが,ひょっとしたら一番いい選択をするかもしれない。そうすれば,ロシアも軟化するのではないか。
領土内に入ったとかミサイルを打ち込んだと言っては目くじらを立て,結局何の成果も出して来なかった日本の政治家が,交渉の席で持ち出せる“タマ”はもはやない。アメリカ側についたとしても,その見返りはもはやないと認識を改め,独自に国を守るための防衛力の強化と防衛体制のロボットによる全自動化,そして水素燃焼発電と陸上養殖・植物工場によるエネルギー,食糧安全保証と輸出による世界貢献の道を,ただちに取る必要がある。一連の新興宗教組織との癒着問題なども払拭して,全力で取り組む姿勢を二次内閣には期待したい(が,やはりムリだろう)。