筆者宅には,アイリスオーヤマの「リンサークリーナー」という掃除機がある。ジュウタンの汚れなどを,水を噴霧すると同時に吸い込んで,汚れとともに吸い取ることができる。いわば「水掃除機」である。昨年死んだトイプードルがジュウタンに吐き戻したときや,もう1匹のチワワが粗相してオシッコをしてしまったときも,慌てることなく汚れを落とすことができる。
水掃除機と言えば,業務用の掃除機で水を吸い取ることができる製品がある。
水といっしょに砂を吸い込むシーンと言うと,海中の遺跡からお宝を発見するのに,ホースで砂を吸い込む様子が見られる。結構なスピードで砂が除かれていく。
2024/7/12,豪雨によって愛媛県の松山城の脇の斜面が土砂崩れし,その通り道にあった古い一軒家が巻き込まれた。丸1日経って,行方不明になっていた3人が残念ながら遺体で発見された。大量の土砂が流れてきたとはいえ,ずいぶん時間がかかった印象がある。重機も数台導入されたが,行方不明者がいる現場では慎重な作業が求められるため,時間はかかることは予想される。
今回の現場に限らず,土砂災害が起きた際の土砂の除去には膨大な時間と人手がかかる。スコップで土を集めて麻袋に詰め,これをまたトラックなどで運び出さなければならない。長時間にわたる作業と,砂ボコリの立つような環境での作業は,若い人にとっても厳しい。能登半島地震でも,ボランティアが体調を崩すケースも報告されている。
土砂災害が起きるたびに,「水掃除機」を応用した土砂除去装置ができないものかといつも思う。ウオータージェットで土砂を崩しながら,同時に吸い込んで後方に送り,そこで複数のトラックの荷台でメッシュで水分を漉してはさらに後方に送り,土砂を処分する。そういう装置ができないものかと,いつも考えてしまうのである。
ウオータージェットで土砂を崩して土砂を取り除けば,大量の土砂でも比較的安全に移送できる。仮に被害者が土砂に埋まっていても,水で周囲を崩しながら,土砂を吸い込むことで,土中にいることによる呼吸困難の状況から水中に環境を移し,しかも水中にいる時間は土中よりも短縮でき,助け出せる可能性も高くなるのではと考えるのである。
装置は重機よりも軽量で機動力があり,現地での作業も素早くできる可能性がある。各地で準備しておくべきではないかと考える。