jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「エモい」に一言

すでに特に若者の間では市民権を得ている言葉のようで,若者に人気の映画でも大事な場面で登場する「エモい」という言葉。意味や使い方については各所に解説が載せられているので詳細に触れるつもりはない。

 言葉を短縮して使うするのは日本語の特殊な文化である。特に戦後,カタカナ語を短縮して日本語として使う文化は独特なものである。筆者の世代で有名なのは「パソコン」。いまさらだが,パーソナル・コンピュータを短縮したものだが,いまではPCと呼ぶことが多いようだ。世界共通語だし,さらに短いのでいいが,この手のアルファベット系は重複することもあり,使い勝手は微妙なこともある。

 便利に使ってしまっているのが「スマホ」。もともとはスマートフォンと書いていたが,最近は筆者もスマホと書くことが多くなっている。この手の言葉はどんどん感覚が麻痺してくる。

 話を「エモい」に戻すが,最近の流行りは名詞の短縮形ではなく,形容詞の短縮形が使われることだ。「エモい」に先立ってよく使われていたのが「キモい」。また,警察の隠語が市民権を得てしまったのが「ヤバい」だが,若者の間では「すごい」という意味に変化して使われている。筆者の感覚とは違うので,違和感を覚える。

 そういう意味で,「エモい」という言葉を聞いた瞬間,「エロい」と「キモい」が混じった嫌な印象の言葉に感じてしまった。「エモい」はemotional,つまり心を動かされる,というポジティブな意味の言葉なのだが,筆者には残念ながらネガティブな響きを持っている。「キモい」は絶対に使うことはないが,「エロい」はeroticからスタートして「エロチック」と言えば使い方によっては「色っぽい」「艶っぽい」という褒め言葉にも使えるが,使い方を誤ると「卑猥な」という意味にも響く。

 誤用という意味では「チゲーヨ(違うよ)」は本来のベランメー化とは異なっている。「すごい→スゲー」は,形容詞からのベランメー化なのだが,「ちがう→チゲー」は,動詞からの変化なので,ルール違反である。「ちがい→チゲー」と変化したようにも見えるが,これは名詞からの変化なので,これもルールにはない。コミックやドラマで盛んに使われているが,あまりお行儀のいい響きではないと思っている。大阪弁では同じ意味で「チャウで~」を使うので,これに対抗して江戸弁風に無理やり作ったのではないかと思ったりしている。

 まあ,若者のネットワークに入っていないし,最近のコミックもアニメもドラマも映画も見ないので,その他の多くの若者ことばはほぼ理解不能なのだろう。個別の指摘は詮無いかもしれない。