jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

EVシフトへの懸念--バッテリーリサイクルが全然できていない

日産、欧州向けガソリンエンジン開発終了 規制見据え電動車に集中 - 産経ニュース (sankei.com) 2022/2/8。世界中で,EV(電気自動車)へのシフトが進んでいる。

 かつて外燃機関から内燃機関へという大シフトがあった。木材や石炭を燃やしてお湯を沸かして蒸気を発生させ,これを往復ピストンに導いて動かす蒸気機関から,石油系燃料をピストンのシリンダーの中で直接爆発させて動力を得るエンジンへのシフトである。これによって,クルマという文化が一気に拡大した。

 一方,鉄道は,蒸気機関車(外燃)からディーゼル機関車(内燃)に移行する一方で,先進国では電車が主流となっている。しかしこれは「架線」という固定のインフラを設置可能な鉄道ならではである。バッテリー式の電車は,パンタを下げて走り出す 大容量バッテリー搭載の蓄電池電車、広がるか(写真18枚) | 乗りものニュース (trafficnews.jp) 2017/11/26 というニュースがあり,ドイツやオーストリア,イギリスなどでも開発のニュースがあるようだが,正直言って普及しているとは言えない。線路というインフラがあるので,架線とは別ルートでの給電も可能なため,わざわざバッテリーを積むこともないからである。

 クルマでもかつて,トロリーバスという形態があった。道路上に架線を張り,そこにパンタグラフ接触させて給電して動かす路線バスである。電車は線路によって経路が固定されるので安定的に架線を運用できるが,さすがにバスでは維持が難しかった面もあり,メジャーにはならなかった。

 今回のEVシフトは,すべてバッテリーを搭載することと,バッテリー充電設備をインフラとして設置することが特徴である。問題点が山積していると筆者は考える。

 ①バッテリーが不完全--現在の最も高密度の電池であるリチウムイオン電池を使用しても,バッテリー重量と走行可能距離のバランスが悪い。バッテリーを多く積めば重くなり,車体上での場所も取る。充電にもそれだけ時間がかかる。急速充電すればバッテリーの劣化が速く起こり,交換までの期間が短くなる。電極に使用するプラチナ(白金)は希少資源で量に限りがある。リサイクル技術も確立しておらず,これまでのハイブリッドカーのバッテリーも野積みになっている状況である。

 ②バッテリー充電設備が不透明--各地の駐車場にEV用の充電設備の設置が進んでいると報じられている。まずこの設置に多くの時間と費用が必要である。問題は,設備を使用するのが運転者自身であることである。EV車のドライバーといっても,今のドライバーと変わらない。自分のクルマは大事にしても,公共設備に対しての思いやりのない人が圧倒的に多い。そんな中で,充電コネクターを丁寧に取り扱うかどうか心配である。ガソリンスタンドにあるタイヤの空気ポンプでも,いい加減な取り扱いが目立つからだ。

 ③タクシー,バス,商用車などへの採用が未知数--現在開発されているEVのほとんどは,自家用乗用車である。そもそも,自家用車は稼働効率が低い。毎日クルマで通勤するとしても,朝1時間,夜1時間使うだけで,あとは駐車したままである。したがって,昼でも夜でも十分な時間を使って充電することができる。現時点でも1回の充電で300kmほど走れるようになっているので,旅行に使った場合もそれほど問題はない。しかし,業務用のタクシー,バス,商用車などは,1日の半分以上を運転している。業務中にバッテリー残量が低下すれば,サービスの安全のためには充電しなければならないが時間がかかる。毎日稼働して充電を繰り返すと,おそらく1年以内にバッテリーが寿命を迎える。自家用車でも,おそらく3年の車検時にはバッテリー交換が必要になっており,車検時に乗り換えられている。中古車で購入してもすぐにバッテリー交換が必要になってくる。総合的に考えると,業務車への適用は遅くなるのではないかと考える。現時点のハイブリッドカー化が限度ではないかと考えるのである。

 「電気ならインフラつくりが容易」という理由と思われるが,そもそも屋外にオープンでコンセントを設けるのは危険な点も多い。分散化するために管理も難しい。価格を適正に維持できるかどうかも分からない。どうせまたボッタクリ業者も出てくるのが目に見えている(ガソリンスタンドですら,過去にはいろいろと問題を起こしていた)。

 トヨタ自動車も,軽自動車から大型車までのEVデザインを発表した。燃料電池車や水素エンジン車も発表しているが,フルラインナップでは出していない。

 筆者は,クルマは水素エンジンにすべきと思っている。これが日本オリジナルの技術である。トヨタが通常のレシプロエンジンで実現しているが,マツダロータリーエンジンも,水素燃焼で駆動できることが実証されている。

 EVシフトでアメリカのテスラ社や中国各社,そして今度は韓国のヒュンデ(ヒュンダイ=現代)自動車も日本にEV展開をすると発表した。正直,各社はバッテリーをどう考えているのだろうか。パナソニックがテスラ社と組んで新しい電池開発をしているというが,まだ未知数である。どの国もまだ,バッテリーリサイクルについては一切発表していない。無責任な話である。水素ステーションは,現在のガソリンスタンドに併設すれば,コントロール可能である。

 ブームで物事を開発すると,将来に禍根を残すと考える。しかし,いずれにしてもこの程度のシフトでは,地球温暖化の防止には間に合わないと思うのである。