jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

緊急脱出用ハンマーはなぜクルマの常備品ではないのか--発煙筒より重要な気がする【追記あり】

水害の被害の中で,アンダーパスで動きが取れなくなったり,用水路に落ちてしまったりして,ドアが開かなくなる事故が増えている。急な増水によって,クルマのエンジンが止まって急に動かなくなり,どうしようか考えている間に,あっという間に水かさが増し,ドアの半分ぐらいまで水が来ると,もうドアを開けることはできなくなる。電気系も水に浸かってしまうので,現在標準の電動ウインドウも開かなくなる。そのうち窓の線まで水が来るとパニックになってしまう。

 ドアは開かないし,窓ガラスは肘で叩いても割れない。狭い車内にあるさまざまなモノを使っても割れない。

 そこで役に立つのが,「緊急脱出用ハンマー」である。それほど重いものではなく,先端角が90度ぐらいのやや尖った程度のハンマーである。窓に打ち当てると,そこに力が集中し,窓ガラスは割れるのである。残念ながら,本当に割れるのかどうか,試してみるわけに行かない。

 ところが,このハンマーは,クルマの常備品ではない。所有者が自分の意志で購入しなければならない。おそらく,ガソリンスタンドでも売っていると思うが,一般にはカー用品店にしか置いていない。水害に遭ったとしても数年に1回。しかし,もし水に囲まれてしまったときに,手元になければどうしようもない。

 クルマが高速道路や電車の踏切などで動かなくなった場合に使用するために発煙筒が常備されている。しかし,筆者も運転免許を取ってから40年になるが,発煙筒を使うことは一度もなかった。高速道路用には三角反射板で後続車に合図をする。踏切では,非常停止ボタンを押す。発煙筒を使うイメージは,走ってくる電車に向かって,発煙筒に点火して煙を出してから走るというものだが,クルマから発煙筒を取り出し,火を点け,走り始めても,間に合わない。確かにクルマに衝突して電車の乗客に被害を出さないためには必死に走るだろうが,脱線しなければ乗客の命は守られる。止まったクルマから下りられるようなら,運転者が怪我をすることもない。

 しかし,水害での車内閉じ込めは,場合によっては確実に数人の命の危険が発生する。緊急脱出用ハンマーは,発煙筒よりも重要な常備品のように思えるのである。

 クルマの種類によって,割れやすさには多少の差がある。確実に割れることを知っているのは,クルマのメーカーである。したがって,クルマの常備品としてあらかじめ設定しておいていいのではないだろうか。

 エンジン車は,エアインテークや排気管のいずれから水が入ってもエンジンが止まってしまう。電装品も水に浸かれば動かなくなる。逆に,EV車はバッテリー周りの防水が完璧になるように設計されている。駆動はモーター。意外にも多少の深さの水の中でも動かすことができるらしい。

 かつて,フォルクスワーゲンは,水の上に1時間は浮いていられるというのがウリ文句だった。隙間を徹底的に塞いだからだという。しかし今のクルマは,中途半端で,水には浮かず,どんどん沈んで行ってしまう。

 どうせ動かなくなって沈むのなら,最初から水がどんどん入ってしまった方が,かえってドアが開きやすいのではないだろうか。たとえばドアの下部に10cm四方ぐらいの穴を開けておき,どんどん水を車内に入れてしまえば,早く逃げようとするし,ドアも開けやすくなる。

 これからの日本は水害の被害がかなり増える傾向にある。クルマも完全に浮くか,素早く脱出できるか,といった別の設計思想が必要なのではないだろうか。

【追記】たまたま,クルマを車検に出していたところ,発煙筒が期限切れになっていたというので交換してもらった。その際,「発煙筒より緊急脱出用ハンマーの方が常備した方がいいのでは」と聞いたところ,なんと発煙筒の先に,窓ガラスを割ることができる金具が付いているとのこと。これはいいアイディアである。