2011年に起きた東日本大震災から13年。1995年の阪神淡路大震災からは29年になる。次は首都圏直下地震と南海トラフ地震が想定されている。
首都圏直下地震は,阪神淡路大震災と同様,地震以外に火事による被害が予測される。一方,南海トラフ地震は,東日本大震災と同様,大津波が予想されている。
大規模火災の場合,住宅街では被害が拡大する懸念がある。関東大震災や空襲の時代よりは,燃えにくくなっているとはいえ,広域で複数個所同時火災になれば,消防が追い付かなくなる。能登半島地震の輪島市内の火事では,消火のための水が供給できず,被害が拡大した。それでも死者は10人で,逃げることができれば命を落とさずに済む。
一方,津波は人的被害が大きい。東日本大震災では,死者の92.4%が津波による溺死と分析されている(https://www.bousai.go.jp/jishin/tsunami/hinan/2/pdf/sub4.pdf 内閣府発表)。
その後,海沿いの地域を中心に各地で津波防災訓練が行われている。津波避難タワーを設置したり,高台への避難経路を整備したり,また逃げる訓練,近隣住民の連絡など,具体的に行われている。
ただ,ビルの3階まで水に襲われるような津波では,一般住宅は沈んで流されてしまうし,鉄骨製のビルの屋上には数十人しか避難できない。まして,高台に逃げるのに20分もかかるようでは,巻き込まれてしまう。深さ30cmぐらいまで水が来た段階で歩くことができなくなり,その後,さらに水がやってくれば,流されるしかない。
人命をまず救うことが目的なら,海岸地域の住民全員に対して,ライフジャケットを配布することを提案したい。地震があったら,普通はヘルメットや座布団を頭に乗せて落下物からの被害を防ぐが,それと同じタイミングでライフジャケットの着用をし,それから避難所や高台に逃げる,という具合にすべきではないだろうか。
漁業者はすでに高性能なジャケットを所有しているが,今後は家族にも,また非漁業関係者も,ライフジャケットを準備した方がいいと思われる。自助努力のほか,各地方で所持状況の実態調査をし,自治体推奨品を手配するなど,すべきだろう。