筆者おススメのPCソフトを,これまで「ファイルメーカー」ないし「ファイルメーカーPro」と紹介してきたが,最新の1つ前のバージョンから「 Claris FileMaker 2023」「同2024」というソフト名に変更になった。「Pro」の呼称がなくなった。
一方で,ビジネスソフト群で定番となっている「Microsoft Office」が「Microsoft 365」と,なんと「オフィス」の呼称がなくなった。「365」だと何のことかわからないので,頭に企業名の「Microsoft」を必ずつけなければならなくなった。「ビジネス用ソフトのOffice」という言い方ができなくなったのである。
365の場合は,完全なクラウド対応になったための名称変更と思われる。クラウド対応になったと同時に,月額ないし年額で契約するサブスクリプション対応になった。ただし,契約はネットワークにつないだ状態だが,Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote、Access、Publisherなどの各ソフトはオンラインからパソコンにインストールして使用するため、オフラインで使用できる。
Office互換ソフトが次々と登場し,Officeという言葉を独占できなくなったので,あえて社名を前面に出す作戦に出たのだろうか。
一方,Filemakerもクラウドベースとサブスクリプションという対応になった。基本的に複数の人がネットワークを通じて共同作業するためのデータベースソフトなので,この形はそれほど不思議ではない。個人で使う場合も,サブスクによってクラウド上に一定のメモリー容量が提供されるというメリットもある。クラウドのスペースが不要で,サブスクが不要というパッケージ版は,2023が最後といわれていたが,最新版の2024でもパッケージ版の販売はされた。
「Pro」という呼称がなくなった理由はよくわからない。この呼称はファイルメーカーの説明によると「プロコードの機能を備えたローコードツールです。そのため、開発者でなくても App を作成できます。」とある。プロコードは、プログラミング言語を用いてソースコードをゼロから記述して開発を行う手法である。近年流行りのローコード,ノーコードのソフトに比べて,プロコードの機能を使ってより高度な仕組みを作ることができる,という意味なのだろう。素人的には「これはプロが使うツールだぜ」みたいな恰好をつけて使ってきた。このためProの呼称がなくなるのがちょっと寂しい。
ただ,その片鱗はファイル名の拡張子に残っている。 Claris FileMakerとなっても,拡張子は「.fmp12」と「p」が残っている。ファイルメーカーPro ver.12以降のファイルがそのまま使えるのはありがたい。
GoogleがWebブラウザーベースでOffice系のソフトを提供し,互換性や機能を着々と強化してきている。たとえば,表計算ソフトのgoogle spreadsheetは,当初は表計算だけだったが,グラフを描画する機能などを搭載した。Microsoftは,従来からのユーザーの囲い込みを図り始めたということが言えるかもしれない。
筆者としてはサブスクリプションはあまり好きではないのだが,パッケージでインストールしたソフトに残るバグが,ネット攻撃の対象となる事態を,クラウドベースで常時アップデートすることで被害を防ぐ効果は期待できるだろう。ただ,プログラムの更新ミスで使えなくなるケースもある。なかなか難しい点は残るようである。