海外との中継で、向こうからの映像や音声が数秒遅れて放送される。宇宙空間にある通信衛星を介して電波のやり取りをしているので、そこに時間差が生じるのは物理の原理で当然である。しかし,いつもいつもこのタイムラグを聞かされると,正直言って思考がいったん切れてしまう。
向こうの映像や音声のタイミングは調整のしようがないが,受け側の映像や音声を少し遅らせてオンエアすることは,特に問題がないのではないだろうか。
先日まで行われていたパリオリンピック2024,そして現在進行形のパリパラリンピック2024の中継で,スタジオからの呼びかけの映像や音声に対してパリ側の答えがどの程度ずれるかは計算できる。ならば,スタジオ側で収録した映像や音声をたとえば2秒遅れでオンエアすれば,パリからの映像や音声とのタイムラグを軽減して,違和感を減らすことができるのではないか。
同じように,先日までの台風10号の各地との中継においても,やはり人工衛星での中継となっているため,タイムラグが大きくなり,中継側が無言でたたずむ時間ができてしまう。これも,計算値,あるいは事前のリハーサルで遅れ時間を考慮して,スタジオ側の映像と音声を遅らせてオンエアすれば,スムーズに中継先との会話が成り立つように見えると思うのである。
逆に多少食い込み気味につながっても,よりリアルな会話に聞こえるはずである。
「遠方からの中継だから,少しタイムラグがあって当たり前だからガマンしてほしい」というのは,放送側のエゴだと思う。時間を前にシフトはできないが,後ろにシフトすることはいくらでも技術でカバーできると思うのである。
さて,今後どの局が先に対応するのか,あるいは永遠に対応しないのか,見届けて評点を付けたいと思う。