jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

福島第一原発のデブリサンプル取り出しへの疑問--もっと簡易なアームで十分ではないのか【追記】9/18再度中止

東京電力福島第一原子力発電所廃炉に向けて,ようやくその第1歩としてデブリサンプルの取り出しを始めることになった。しかし,2024/8/22取り出しのパイプの組み立て順が違っていたことが判明し,いったん中止になり,3週間後の9/10に再開された。

 操作するところからデブリの近くまでの距離は22mもあるという。長さ1mぐらいのパイプをつないでアプローチする。デブリの取り出しまで順調に行っても2週間かかるらしい。すべての作業をリモートコントロールで行い,慎重を期してとのことなのだが,それほど時間がかかるものなのだろうか。

 自動でパイプを通す作業をする仕組みとして,石油掘削リグを考えてみた。パイプの長さは9mもある。まっすぐ通せば3本つなぐだけで格納容器に開けた孔まで到達できる。到達後,パイプの中にフレキシブルチューブを通し,さらにその先のハサミ状の器具を操作すれば,数グラムのデブリを取り出すのはそれほど難解でもないような気がするのである。内視鏡手術,あるいは血管カテーテル手術などを考えれば,パイプでガイドされていればスムーズに作業は進むと思うのである。

 事故当初,原子炉内の状況がまったくわからず,さまざまなロボットを投入してもわからない状態が続いた。万能なロボットなどないが,その都度,試作品のようなロボットが投入され,失敗を繰り返した。フランスから導入したロボットが初めて原子炉内の実態を明らかにしたと思う。日本の技術力がいかに低下しているかを思い知らされた。

 その後も冷却水が地面周辺から漏れるのを凍結壁で囲い,それでも増え続ける冷却水を溜めるのに1000個以上の大型タンクを作り,その排水処理もフランスの技術でようやくでき,最後は薄めて放水するのも強行実施した。世界中から批判を浴び,ただ測定値が大丈夫というだけの結果で1年が過ぎた。

 放射線が飛び交う中での作業のため,慎重にならざるを得ないのは仕方がないとしても,そもそも組み立ての順番を間違うなどのヒューマンエラーがあってはならない場面で,それからも3週間も日数が必要など,どうにも手順が多すぎるような気がする。

 燃料デブリの量は数百トン。これからの取り出し作業も,またいちから装置を設計して製造し,組み立ててぶっつけ本番で作業してうまく行かない,の繰り返しになるのではないだろうか。

 デジタルツインと呼ばれる,実際の環境をコンピュータの中に仮想的に環境を作ってシミュレートするなどの手法が取れなかったのだろうか。これからでも遅くない。現物模型を作ってでも,確実なシミュレーションをして,確実な装置で臨んでほしい。今回の接合型パイプは,素人目からするとあまりにもお粗末に映るのである。

【追記】9/18

 9/10に再開されたパイプの挿入は,確か翌日の9/11には格納容器まで達していたと報道されたと思った。当初,ここまで2週間かかると報道されていたので,「やればできるじゃない」と思っていた。いくら慎重を期すと言っても,時間がかかりすぎる。1日で到達したなら良しと思った。

 それからさらに1週間が経過した。デブリ取り出し用のアームは,すでに一度,格納容器の中に降ろされ,デブリに触れていたという。ところが2度めに本番で取り出ししようとした際,4台あるうち先端の2台のカメラが壊れて映像が受けられなくなったことで,再度作業が中止された。

 イラストを見ると,デブリを引き上げるための「釣り竿式の装置」を作業員が手動で操作しているようなイメージが描かれている。本当にこんなやり方なのだろうか。格納容器との間は,挿入したパイプでつながっている。放射線を含んだガスがパイプを通じて作業員のところに影響を与えないのだろうか。また,ロボットなどの装置を使うのではないのか,と思ったりした。

 テレビゲームばかりしていたから,実際のモノの重さや摩擦抵抗などの物理的な力がわからなかった,といった単純なことなのだろうか。