jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ロケットはもうやめよう--そのおカネをもっと有効に使おう

民間企業独自のロケット「カイロス」(スペースワン社)の打ち上げが2024/3/13に行われ,発射から5秒後に異常発生で自爆した。

 何が異常だったのかは不明だという。異常があったから発射を途中で止めて自動的に爆破された,ということであれば,安全装置が正常に動作した,ということになり,失敗とは言えない。しかし,あの位置で自爆させることが本当に正しかったのだろうか。墜落してきたロケットによって発射台も損傷したと思われるし,近くで山火事も発生した。とりあえず人的な被害はなかったにしろ,機材の破損,破片の散乱,そして山火事の消火などについての危険性を考えると,もう少し海上に移動してから停止措置を行うようなプログラムだった方が良かったのではないか。次はいつ,発射を予定するのだろうか。

 同じ時期に,大学でのロケット打ち上げ実験も発表された。鹿児島大学のチームと,福岡大学九州大学東京大学のチームが,それぞれ挑戦している。

 筆者が大学受験したのは50年も前になるが,当時は航空宇宙学科と原子核学科の偏差値が高く,建築学科,電気学科に次いで花形だった。その後,原子核学科はほぼ消え去り,航空関係もほとんど話題がなかったが,宇宙関係,つまりロケット開発は続けられているようである。

 しかし,「制御」という点で日本の技術は今一つパッとしない。クルマの自動運転もそうだし,今回のロケットも姿勢制御がうまく行かなかったのではないかと推測している。空を飛ぶものと言えば昨今のドローンも,日本でまともに開発できた試しがない。驚くほどの姿勢制御を実現しているのは,中国製のドローンである。しかも数百という複数のドローンをコントロールして隊形を作る技術も,日本では考えもしなかったことだろう。

 日本製ロケットのポイントとして,おそらく精密加工技術が活かされている,ということだと思うのだが,いまやコスト競争の時代にいかに安く正確に量産できるかがモノを言うが,日本の製造技術はそのコスト意識が極めて低いように思える。

 ロボットでも,産業用ロボットのような精度の高い動きを繰り返すタイプは得意だが,二足歩行,四足歩行,ヘビ型など,高度な制御が必要なロボットは,いまやアメリカ企業が圧倒的に先行している。ASIMOの次が出てこないのが,日本の技術の限界であり,企業が投資をしない点も問題である。

 大学のロケット研究に,次のテーマはあるのだろうか。モノづくり技術も設備もなく,設計経験もなく,制御技術もない。新しい発想もなく,同じロケットを繰り返して作っている。高高度まで飛んだ航空機からロケットを分離したり,遠心力を使って射出する(遠心力でロケットを飛ばす宇宙ベンチャー現る 音速の数倍で回転 エンジンなしで高さ数万フィートに到達 - ITmedia NEWS)とか,そして宇宙エレベーターとか,どうせやるなら新しい発想でチャレンジできないものかと思ってしまう。

 正直,いまさら日本が飛ばす人工衛星にまともなものはない。木製の衛星だの,超小型衛星だの,ゴミみたいな衛星を打ち上げても地球のためにならない。研究者の自己満足だけである。しかもその衛星を打ち上げるのであれば,他国に依頼した方が安くて失敗ない。今回の打ち上げ失敗でも,衛星1個がパーになってしまったことを考えると,必要な衛星を他国のロケットシステムで打ち上げてもらう方が正しいと考える。

 日本の宇宙開発ベンチャーは,ビジネスベンチャーである。エンタメのために使うしか頭がない。各国が躍起になっている月へのミッションも,日本に何のメリットもない。

 今,日本がすべきなのは,自然災害への対応,環境への対応,そしてエネルギーと食料の供給である。アメリカのスターリンク社が6時間起きに2機のロケットを飛ばし,数千個のスターリンク衛星の軌道放出に成功している。まったく桁が違うし,発想も桁違いだと思う。正直,そんな野蛮な挑戦はやめて,地球のためになる堅実な道におカネを使うことで,「やっぱり日本はすごい国だな」と世界から認めてもらう必要があると考える。