COVID-19において,「医療崩壊」が起きている。東京都が毎日出しているデータで自宅療養者数が2021年7月以降,急速に増えているのが,医療崩壊の証拠だとコメントしていた どうも正確な情報がないCOVID-19感染状況--厚労省も専門家分科会も,そしてメディアの分析能力,取材能力もどうかしている - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/8/30。
東京都が発表している同じデータhttps://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/data/130001_tokyo_covid19_details_testing_positive_cases.csv を使って,再度分析を試みた。積み上げ棒グラフで表示したのが次の図である。
2021年6月以降の3ヶ月を表示している。一番下の重症患者(赤色)も,50人だったものが300人近くに増えているが,頭打ちに見える。また,中等症の患者(オレンジ)も,2000人だったものが4000人弱と2倍に増えているものの,そこで頭打ちになっているように見える。
病床確保数は,重症者用が465床,中等症用が6,117で,いずれも50%を超えたステージ4である。特に重症者用は64.5%であり,「残りが150床しかない」という表現の方が正しい。
一方で,自宅療養中(黄緑色)と調整中(黄色)の数字の増え方を見ると,7月以降,急速な増え方をしていることを示している。この2つの数字がゼロになることが望ましいのだが,病床数がなかなか伸びないのが問題である。
自宅療養中の病状の悪化速度が,アルファ株が増えた2021年1月のときと違って,デルタ株は数日で重症化しやすい。
一方で,1日の退院者数も3000人~5000人と増えている。これは,抗体カクテル療法などの効果も出ているのかもしれない。
このグラフを見ながら,やはり自宅療養者数や調整中の人数を思い切って減らさなければ,ここで重症化した人の行き先がなくなることが分かる。病床数を一気に増やす「野戦病院」建設と,一般病棟での軽症者の療養,酸素ステーションの拡充とともに,自宅を含むいずれの場所でも,抗体カクテル療法が受けられるようにする必要があるだろう。軽症者,中等症者に抗体カクテル療法を実施して,退院数をさらに増やすことも,病床数を増やすのと並行して進める必要がある。