新型コロナ: 9分で新型コロナ検査 高感度でPCRの置き換え狙う: 日本経済新聞 (nikkei.com) 2022/5/26。この記事には関心があったのだが,仕事が忙しくてフォローできていなかった。理化学研究所と東京大学の発表である。
一方で,公式認定された新型コロナウイルスの抗原検査キットが,1億8000万回分が使われずに廃棄直前になっているという。未承認の「研究用」抗原検査キットの方が安く手に入るほか,薬局での薬剤師からの説明も要らないため,承認キットが売れないのだという。
抗原検査キットについては,5/27に政府の規制改革推進会議が,処方箋なしで購入できる一般用医薬品にすることやコンビニなどでも買えるようにすることなどの提言があった。
いずれの動きも,新型コロナウイルスとの共存「With Corona」のために一歩前進したかな,と思うのだが,残念ながら一般の人にはほとんど関心がないと思われる。つまり,「自分がウイルスに感染しているかどうかを知りたい」「感染していたら他の人に感染拡大させてしまうのできちんと自己管理したい」と思っている人は,ほとんどいないからである。
筆者も,かなり早い時期に自費で抗原検査キットを購入していた 「抗原検査キット」を注文 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/12/3。たしかに「研究用」であり,これで陽性と判定されたとして保健所に連絡したとしても,対応してもらえない品物だった。当時の(たぶん今も)保健所の対応は,「症状があること」「指定場所でPCR検査を受けること」「陽性と判定されること」のいずれもクリアし,さらに「入院するか自宅療養するか」の判断は医療経験のない保健所の権限で決められ,それから病院探しが始まる,という流れだった。自覚症状がないが,濃厚接触した可能性があるので,自費で抗原検査キットで検査して陽性判定されたとしても,保健所の手続きが進まなければPCR検査が何日先になるのか,その結果で入院するという判断が何日先になるのか,そして実際に入院先が決まるのが何日先になるのか,がいずれも不確実だった。PCR検査の予約に2日,検査の結果が出るのに2日,要入院となっても実際に入院できるのにまた2日という具合に,症状が出てから入院まで1週間もかかってしまう。その間に症状が悪化して救急搬送され,中等症から重症へ,さらにECMOの必要まで進み,あっというまに亡くなるというケースが多発していた。
オミクロン株中心の現段階では,ワクチン接種率も9割以上となり,重症化リスクは下がった(しかし,相変わらず毎日の死者数は10人前後で続いている。重症化してからの死亡率は下がっていないことを認識すべきである)。2022年に入って急増した第6波では,オミクロン株の感染力の強さでクラスター的に感染者が増えたために,検査数も急増した。4月以降,減少傾向に転じていると報じられているが,オミクロン株では無症状感染があることと,症状があっても風邪の症状に非常に似ているため医療機関を訪ねないことと,海外での規制緩和の動きをニュースで知ることなどの理由で,新型コロナウイルスに対する関心が下がっている。感染確認者数が減っているのは,そもそも検査数が減っているためでもある。決して感染が収まっているわけではない。
せっかくのPCR検査に代わる高速検査にしても,全国で利用できるようになるにはあと1年はかかる。筆者の予測では,「流行が収まってきているので,製品化は保留」となって,次の波が来たときには使えない,という状況がまた考えられる。
全員強制的PCR検査でこれまでほぼゼロコロナに抑え込んでいた中国でも,オミクロン株の感染力には歯が立たず,上海での強力なロックダウンがもう2ヶ月にもなる。おそらく抑え込めると思われるのだが,残念ながら国民の不満は今回は抑え込めないだろう。
筆者は,オミクロン株対策として,不特定多数の人がいる場では,マスクの引き続きの着用,会話の禁止,強制換気,屋外でも通行時はマスク着用義務,そしてワクチン接種を推奨している。しかし,政府によるマスク着用義務の緩和姿勢や,海外からの入国制限の緩和など,「緩和ムード」が高まるなかでまた第7波へと転じることが筆者的には予測される。
10分で結果が出る今回の新しい検査方法や抗原検査キットを使って,人が移動する場合には必ず検査する,という「公共交通機関での入り口規制」を行う必要性を感じる。結局また 国土交通大臣は,公共交通機関に乗車・入場禁止をさせるべき。 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/2/21 という一番最初の提案に戻ってしまうのである。
それよりも,筆者提案の「ノドのイガイガ検出器」検温器よりも「ノドのイガイガ検出器」が欲しい【追記】 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/5/15 で5秒で結果を出した方が,早いと思うのである。
「疑わしきは通さず」。感染拡大を防止するにはこれしかないと思うのだが,なぜ公共交通機関やそれを管理する国土交通省は何も手を打ってくれないのだろうか。お客様が日々,電車内でくしゃみや咳をする人にどれほど悩まされているか,まったく理解しようとしない。
先日も,10秒ごとに咳払いをする男性が筆者の座っている席の前に立った。筆者は,自分の後ろの窓をあらかじめ10cm開けていたので,換気はそれなりに役に立っているはずだが,それにしても30分間,ずっと咳払いが続いた。マスクを手で押さえるエチケット動作もなかった。いちおう不織布マスクだが,ざっと計算して180回の咳払いで,マイクロ飛沫はどれほど漏れていたのか,想像するだけでゾッとする。
症状がないから検査しない人の中に感染陽性者は潜んでいる。これをあぶり出す以外に,感染拡大を防ぐ方法はない。