紙の健康保険証を2024年に廃止し、マイナンバーカード一本にするという宣言で、河野太郎デジタル大臣が暴挙に出た。これまで散々、クーポンで国民を釣ろうとして叶わず、とうとう期限を切るというのである。
ニンジン作戦が効果を発揮しなかったので、今度は脅迫に出た形である。鳴らば、クーポンでばらまいた税金をどう説明するのだろうか。
筆者も当初はメリットをまったく感じなかったので、マイナンバーだけを伝えるだけだった。確定申告でマイナンバーに情報を集約できるというメリットがありそうだったのでクーポンが始まるよりも前にカードを申請して取得していた。クーポンの恩恵には預かれなかった。先行してカードを取得したマジメ人間には、お礼の1つもあっていいはずだが、何もなかった。
健康保険証と一体化するというときにもクーポンがばらまかれてた。しかしこのときは、マイナンバーカードで受診すると初診料が高くなるというので、切り替えを見送った。今は多分割安になったので、クーポンを申請した。それでも申し込み者はようやく50%を超えたぐらいである。懐柔策が効かないのである。そこで業を煮やした岸田内閣は,2次改造内閣でデジタル大臣に暴れん坊の河野太郎氏を起用した。やれ,省内でzoomができないだの,申請のフロッピーディスクをやめるようにしたりと,細かいところから指摘が始まったと思ったら,いきなりの保険証廃止である。
岸田政権が断末魔の叫びを上げているような気がする。ロシアによるウクライナ侵攻ではNATOに同調したためにロシアから友好国関係を破棄された。北朝鮮からは2022年に26回ものミサイル発射を許し,そのうち1本は日本上空を通過された。自民党と統一教会との癒着についての調査もザル状態で,最悪の答弁をする大臣も現れた。当事者である安倍前首相の国葬も断行されたが,世界的にほとんど報じられることもなかった。さらに10月に入ってまるで新型コロナ禍の終結宣言でもするかのように,マスク義務の廃止,入国制限の撤廃を断行し,インフルエンザとのダブル流行すら引き起こしかねない状況になっている。その中での,健康保険証廃止提案である。とにかく任期のあるうちにやれそうなことは適当に勝手にどんどんやってしまおう,と言わんばかりである。
それはさておいて,マイナンバーカードに健康保険証機能を入れることには筆者は賛成である。というか,いままで日本では,自分の身分を証明する方法がなかったからである。
陸続きの国であれば,他国と行き来するのもほとんど抵抗がないので,個人を特定するために使われているのはパスポートである。これに顔写真も住所も情報が掲載されている。生まれておそらくすぐに作る必要があり,おそらくほとんどの手続きをするのにパスポートでの本人確認が必要だと思われる。
日本は島国であり,昔であれば日本を出ることなく一生を終える人が大半だった。パスポートを取るのは,留学したり,海外に出張したり,そして海外旅行をする人であり,船や航空機を使わなければ海外に出ることができない。おそらく,海外旅行以外でパスポートを持ち歩く人はいない。
身分を証明する方法としては,大人になって取得する運転免許証か国民全員が持っているはずの健康保険証しかない。免許証は顔写真入りだが,健康保険証には顔写真は入らない。結局,本人確認するには免許証かパスポートということになり,これでは国民全体を確認することができない。国民全員を把握していたはずの年金記録も,結局はシステム的に矛盾があり,誤った処理ばかり繰り返している。
アメリカや韓国では,グリーンカードが身分証明書である。アメリカ国民としてのアイデンティティであり,働くにも家を借りるにもグリーンカードが必要である。アメリカに長期で滞在する場合も,グリーンカードの発行が必要になる場合もある。
マイナンバーカードは,いわばこのグリーンカード並みの重要性を持つ仕組みだったはずである。最初,マイナンバーカードに健康保険証機能を持たせる,という話を聞いたとき,これはいいアイディアだと思ったものだ。
ところが,手に入れたマイナンバーカードを見て,正直言ってガッカリした。ICチップが入っているにせよ,カードとしてあまりにも安っぽい出来だからである。
まず,顔写真が小さい。しかも,プラスチック板の上に転写されただけのようで,送付した写真のクオリティに比べて黒がきちんと表現されていないため,コントラストが低く,かつ色味も非常に不健康に見える代物だった。
さらに,名前なども小さく,印刷してある書体が明朝体で細く,擦れたら消えてしまうのではないかと疑ってしまう。専用のビニールケースもペラペラで,財布で持ち歩いている間に敗れてしまった。印刷してあるマイナンバーがすぐには見えないようなマスクが印刷されているのだが,受け取った相手はカバーから出してしまうので意味がない。QRコードも小さい。
また盤面の模様も,ピンクや緑,青などが入った変な色調である。偽造防止にはなるのかもしれないが,昨今のクレジットカードでおなじみのホログラムシールも貼られていない。
言い方は悪いが,海賊ショップで売られている模造カードのような印象である。
タッチでの確認が中心とはいえ,PCで読み取るにはカードスキャナーに差し込まなければならないし,常時持ち歩くときには財布に入れたりする。他のカードと擦れる機会も多い。これで10年持たせようという意識がまったく感じられない。カード面の文字が消えてしまったときの対応をどうするのだろうか。
そこまで疑問を持ったところで,今度はマイナンバーカード機能をスマホアプリにすることを2022年中に進めるという。「そのうち,マイナンバーカードもスマホアプリにする」などというアイディアも出てくるかもしれない」と10/10のブログで書いたばかりだったので,ビックリした。それなら最初からスマホアプリで進めれば良いのではないか。とにかく,発行までの手続きが非常に面倒である。
クレジットカードは,楽しい盤面のタイプもあれば,シルバー,ゴールド,プラチナ,ブラックと,持つことに誇りを感じられるようなデザインと機能を持たせてきた。マイナンバーカードも,基本的には持って誇らしいICカードで進めてほしい。
自治体は,ICチップ,写真なしの「マイナンバーカードmini(仮称)」をただちに配布することを提案--新型コロナをいい機会に全手続きにマイナンバーを活用 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/8/5。別に「健康保険証廃止」などという強引な手段を使わなくても,カードを配布すればそれで済む問題だったのに,結局批判を浴びることが間違いない方法を採用したのは,問題だろう。正直,これで河野太郎氏の首相への道は絶たれたと筆者は感じる。
SUICAカードが最初に登場したとき,そのイメージカラーの黄緑色がJR山手線のカラーであったことは,普及の大成功を収めた理由の1つだろう(ペンギンはどうでもいい)。逆にPASMOカードがピンクになったのは意味不明だが,これもシルバー地にピンクという統一カラーで良かったと思う。運転免許証はブルーが基調色,年金手帳もオレンジと青が基調色で,それなりの存在感がある。
これに比べてマイナンバーカードは基調色もなく,文字も不細工で,何だか手作りみたいであり,逆に偽造カードっぽい。アメリカのグリーンカードは,まさに緑が基調色である。マイナンバーカードも,もう一度デザインし直した方がいいのではないか。
正直,このマイナンバーカードのデザインを担当したのは誰だろう。
デザインといえば,東京オリンピック2020のシンボルマークの盗用事件が記憶に新しい。その後,新しいマークも今ひとつだったし,さらにキャラクターのデザインももはや意味不明だった(スポーツの躍動感がまったく感じられなかった)。
改めて,基調色をきちんと決めて新しいカードを作成した方がいいと思う。というのも,仮にマイナンバーカードのスマホアプリを作成したとき,基調色がないことから違法アプリがどんどん出てくることが懸念されるからである。モバイルSUICAは黄緑の丸の中にペンギン,モバイルPASMOはピンクロボットと,アイコンで一目で認識できる。モバイル・マイナンバーカードのアイコンは,まったく予想もできない。
提案である。日の丸の「金赤」を基調色とした新マイナンバーカードを作るべきである。しかも,印刷業界では金赤といえば,マゼンタ100%,イエロー100%が標準なのだが,印刷所によって微妙に割合を変えているという。マイナンバーカード用の金赤については,特色で作り,これをデザイン特許として登録し,不正利用をさせないようにすべきではないか。
全面「金赤」でもいいし,日の丸をイメージして1/4カーブを使うのもいいと思う。せっかくなので,筆者のイメージで作ってみた。まあ,「日本石油」のサンライズマークのイメージと被るがどうだろうか。