jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

密室犯罪とマスメディアの対応--経営における権威・権力の構図が変わることを期待

海外記者が見た「日本のジャニーズ報道の異常さ」 「弱きを挫き、強きを助ける」歪みまくった構造 (msn.com) 2023/9/1の東洋経済オンラインの記事である。

 海外ではジャーナリストは一匹狼である。日本で言うと,評判の悪い写真雑誌のパパラッチカメラマンによる盗み撮りによって,有名人のプライベートが明らかになってきた。

 一方,大手メディアは既得権益で情報リークを得て報道することも多い。その情報は情報元に忖度し,「情報源は明かさない」という司法取引のような暗黙のルールのもとに正義のメディアという立場を維持してきた。

 しかし,情報源以外にも大手メディアを縛ってきたのが,広告主である。メディアの収入の大半が,広告収入である。広告主に不都合な情報を載せることは,メディアの存続に関わる。

 21世紀に入って日本経済が停滞をし,企業にとって経費節減の1番目が「広告費」である。新聞や雑誌,テレビに大量の広告を出していた大手企業が,その広告を止めたことで,多くのメディアが苦境に立たされた。特に,収入のほとんどを広告収入に頼っていた雑誌は,次々に休刊に追い込まれた。現在の新聞も枚数は半減した。一面広告はほとんどなくなった。

 広告主に忖度する必要がどんどん薄らいで来ている現在,大手メディアが広告主からの呪縛から解き放たれて,本来の視聴者に必要な情報提供ができるようになった,と言うこともできる。

 大手メディアの横暴はまだまだ続くだろう。ただ,性犯罪はメディアが最も取り上げにくいテーマでもある。一般人の犯罪は社会面で取り上げることができるし,専門職(医者,教員,警察・消防,自衛隊,弁護士,裁判官など)や政治家,政府,官僚などは,「権威と闘うマスコミ」というさらに上から目線で暴露することができる。しかし,産業界,経済界,そして芸能界は,情報提供とともに金銭の提供も受けている。言いたいことも言えないのが大手メディアである。

 逆に,言いたい放題のSNSメディアは,根拠のない情報を発信しているがインフルエンサーとしての価値に対して広告主はマイクロ広告を出す。これが山と積もって大きなマーケットとなっている。信頼性のない情報に対して価値を付けるというおかしな現象が起きているのである。

 自慢ではないが,筆者はかつて大手雑誌社の編集部に勤めていたが,この会社のいいところは編集と広告が完全に分離していたことである。広告の忖度することなく,メディアとして報じたい内容を伝えることができた。おかげて最大のスポンサーからの広告を得ることはできなかった。現在は,広告とは関係のない出版社に勤めており,最も届けたいと考えるテーマでの書籍づくりをしている。

 このブログも,残念ながらスポンサーはつかないし,炎上が怖いのでコメントを付ける機能もOFFにしている。小心者だが,ささやかな情報発信と思っていただきたい。

 いずれにしても,今回のケースは,少年に対する性加害という,どのメディアも報道しにくい異常な面を持っている。欧米でも,聖職者による少年への性加害という異常なケースが長年続いていたことが最近ようやく明らかになってきた。海外メディアがこの問題に正面から取り組んだとも思えない。それほど,大手メディアの既得権益は大きいのである。

 あらゆる密室で繰り広げられる犯罪は,陰湿である。組織という密室は,企業でもありえるし,学校や病院,自衛隊,そして宗教団体などでもありえるし,家庭という最も安全であるべき箱の中でも,陰湿な虐待が行われたりする。最小の単位である夫婦の間でも,DV(ドメスティック・バイオレンス)という密室内の犯罪が行われる。

 結局は,男性が性欲をコントロールする理性を十分に持っていないことと,相手に対する差別意識,自らの権力・権利意識が,暴走を引き起こしているということができる。

 弱い立場にある社員や,生徒,そして妻や子が,性の犠牲になっている。契約があったとしても,労使間や男女間の平等を完全に獲得することは,なかなか難しい。

 メディアも生き残るためには情報を買ってくれるお客様が必要である。そのために歌やダンスの番組を作り,そしてお笑い芸人,クイズ芸人の番組を作る。そこに癒着が生まれるという構造からは抜けきれない。若いエンタテイナーを育ててきた事務所のスキャンダルで,今後のアイドルがどのようにして輩出されるのか,課題は残る。ただ,先輩たちが経営を引き継ぎ,新しい形で若い人の才能を伸ばす場を作っていく健全なエンタテインメント市場が再構成されるのを期待している。メディアも再構成されることになると考えられる。